【マーケティングにおける業務委託のすすめ】即戦力のマーケターを採用する3つのポイント

IT専門の調査会社・IDC Japanが2020年8月に発表したリサーチ結果によると、日本国内におけるデジタルマーケティングの市場規模は年間約4,200億円。業種・規模を問わず、多くの企業がインターネット広告やSNS、動画メディアなどを活用し、事業拡大に役立てています。

ただ、実際にマーケティング施策に取り組むとなると、立ちはだかるのがリソースの問題。とりわけ中小企業やベンチャーの場合、リスティング広告を出稿しても人出不足から運用が軌道に乗らなかったり、オウンドメディアを立ち上げたきりコンテンツの更新が滞り、放置されてしまったりするケースは決して少なくありません。

そうしたリソース不足の解決策の1つとなるのが、業務委託の人材活用です。今回はマーケティング業務を委託するメリットをあらためて整理したうえで、ハイスキルな委託先(フリーランス)を見つける方法や、契約・発注の進め方、パートナーとしての適切な付き合い方について3つのポイントに分けて解説してきたいと思います。

目次
マーケティング業務を委託するメリットとは
即戦力を採用するための3つのポイント

マーケティング業務を委託するメリットとは?

広告運用やデザイン、ライティングといったマーケティング業務をフリーランスに委託する何より大きなメリットは、コストを抑えられること。

人材サービス大手のマイナビによれば、大卒新卒者の平均採用単価は約53万円、マーケティング領域における若年層の平均年収は一般的に250万円~350万円前後とされています。

自社で人材を採用して研修を行い、さらに数年の実務経験を積ませて一線級のマーケターに育てあげるまでには、どんなに少なく見積もっても1,000万円以上の費用がかかるわけです。その間、休職や離職によって育成が振り出しに戻ってしまうリスクもゼロではありません。

一方、業務委託契約なら、こうした育成コストを丸ごとカットすることが可能。業務委託は基本的に案件またはプロジェクトベースで報酬が発生する契約となるため、継続的に賃金を払い続ける必要はなく、雇用契約のような健康保険料・厚生年金の折半も不要です。

もう1つのメリットはクオリティの面。

フリーランスの多くは企業の社員として実務経験を積みながら得意分野を確立し、その分野で「食べていける」という判断をもって独立した人材です。デザインやライティング、広告の運用オペレーション、解析など1人ひとりが卓越した強みを持っており、案件とマッチすれば非常に質の高い成果物(あるいは売り上げ・収益、顧客獲得といった効果)が見込めるでしょう。

実際に成功事例も多く、あるアパレル関連メーカーでは、オウンドメディアの企画・制作を大手ECサイト運営会社出身のライターとデザイナーに委託したことでアクセス数が大幅にアップ。見込み顧客の獲得を含め、非常に大きなマーケティング成果をあげました。


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即戦力を採用するための3つのポイント

業務委託のメリットを整理したところで、ここからは即戦力となるフリーランスの探し方や契約方法、発注の進め方について見ていきましょう。

1.候補者選びはエージェントを活用

コネクションや取引先からの紹介がない場合、フリーランスのマーケターを見つける主な方法は、専門のエージェント会社による仲介と、クラウドソーシング経由の2つ。それぞれメリットがあるものの、フリーランスの経験・スキルや成果物のクオリティを重視するなら、エージェント会社を利用するのがおすすめです。

マーケティング市場の拡大やワークスタイルの多様化を背景に、現在多くの企業が業務委託の仲介事業を手がけています。各社とも優秀な人材の確保に力を入れており、なかには100項目以上にわたるスキルシートを作成してフリーランスを管理したり、候補者をオフィスに常駐させ、一定期間研修を行ったうえで企業とのマッチングを図ったりするところも増えてきました。

こうした仲介サービスはフリーランス側からもクライアントを見つけるための有効な手段となっており、広告賞の受賞実績や大規模なコンペの入賞経験を持つ優秀なマーケター、クリエイターが登録しているエージェント会社も少なくありません。

一方、クラウドソーシングのメリットをあげるとすれば、発注単価を抑えられる点。たとえばこの記事のような3,000文字前後のブログコンテンツの場合、クラウドソーシングを利用すれば文字単価0.5円程度で発注することが可能です。

ただその場合、フリーランス側が受け取る報酬は1,500円。内容にもよりますが、3,000文字の記事を作成するには少なくとも3時間前後かかるので、時給に換算するとわずか500円、クラウドソーシング運営会社の手数料を差し引けばさらに低い金額になります。

その程度の報酬と引き換えに成果物のクオリティを求めるのは無理がありますし、そもそも他の案件で十分に稼げているハイスキルなフリーランスからは仕事として見向きもされないでしょう。具体的な成果・クオリティを念頭に置くのなら、やはりエージェント会社の仲介サービスから優先的に検討すべきだと思います。

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2.契約の際は著作権に注意

委託先を見つけられたら次のステップは契約です。エージェント会社によっては契約までフォローしてくれるところもあるので、あらかじめ相談しておくといいでしょう。

一方、自社で契約を進める場合は、できれば法務や労務の部署と相談しながら契約書を作成するのが望ましいのですが、場合によってはテンプレートを利用するのも1つ。

ビジネス素材の無料サイトなどで提供されている業務委託契約書のテンプレートをダウンロードし、電子署名・捺印ができるアプリと併用すれば、書類を送付する手間やコストはかかりません。委託先にあらかじめ連絡しておけば、即日契約を結ぶことも可能です。

その際に1点注意しておきたいのは著作権について。委託先が納品する成果物(テキスト、画像、デザイン、資料など)の著作権はすべて制作者に帰属し、事前の取り決めがない限り、内容を変更したり、二次使用したりすることはできません。

のちのちのトラブルを避けるためにも、契約時にはフリーランスの了承を得たうえで、できれば著作権をすべて委託元(自社)へ譲渡する旨を盛り込んでおきましょう。

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3.「事業者」という意識を忘れずに

契約を結んだら、次はいよいよ発注。メールやチャットによる連絡、単価交渉、スケジュール調整、クラウドストレージを使った素材の受け渡しなど、発注業務は多岐にわたりますが、いずれにおいても大切なのは、相手も事業者だという点を忘れないこと。

マーケティングの第一線を担うハイスキルなフリーランスは少なくても数社、多ければ10社以上のクライアントを抱え、クライアントの要望や案件のボリューム、報酬などによって優先順位をつけながら業務を請け負っています。

報酬を支払うからといってそこに割り込むような行為、たとえば極端にタイトな納期での発注、自社都合による値下げなどを重ねれば、当然フリーランスからの信頼は失われ、契約解除にもつながりかねません。同様に自社のミッションビジョンへの理解・共感を過度に求めたり、ドメスティックな業務フローを押し付けたりするのもNGです。

委託先が個人事業主でも、意識はあくまでBtoB。相手が事業者、ビジネスオーナーであるという意識を忘れずに向き合うことが、即戦力のフリーランスとパートナーシップを築いていくための大事なポイントだと思います。

マーケティング業務の委託を検討している方は、今回ご紹介した内容をぜひお役立てください。


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