少子高齢化の進展により、労働人口は減少の一途を辿りつつあります。それに伴い、企業における人材の獲得競争は激しさを増しています。
優秀な人材を採用するために、採用にマーケティングの視点を取り入れた考え方を「採用マーケティング」と呼び、近年、新しい採用の方法として注目を集めています。
本稿では採用マーケティングとは何かといった基礎から採用マーケティングを活用して優秀な人材を採用するポイントまで解説します。
採用マーケティングとは何か?
「採用マーケティング」とは、マーケティングの視点を採用活動に適応した施策を意味します。具体的には、就転職を希望するユーザーに企業を認知してもらい、内定承諾までのプロセスを設計し、採用活動の効率化を図る施策になります。
企業における従来型の採用活動といえば、合同企業説明会などのイベントをはじめとしたオフラインでの採用活動が一般的でした。しかし、デジタル化が進み、オンライン採用の普及が急速に進んでいます。新型コロナウィルスの感染拡大の影響もあり、非対面のオンライン採用は一般的になりつつあります。
そのため、今後の採用マーケティングは上手にITツールを活用し、デジタルを駆使したマーケティングで、優秀な人材を確保する方法が主流となることが予測されます。
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なぜいま採用マーケティングが重要なのか?採用市場の変化について
少子高齢化の進展により、日本における労働人口は減少の一途を辿りつつあります。それに伴い、企業における人材の獲得競争は激しさを増しています。更に、昨今、新卒市場と転職市場で以下にて説明する変化がありました。
新卒市場の変化と採用マーケティングの重要性が増している理由
日本経済団体連合会(経団連)の採用ルールが2021年に廃止されました。それまでは、限られた期間で行っていた企業による採用活動ですが、ルールが撤廃されたことにより、ソフトバンクや楽天等における企業では早い段階から実施されていた「通年採用」の拡大が加速しつつあります。
更に、学生の従来の大手志向から働きやすさややりがいを重視する価値観の変化が生じてきました。正社員や契約社員、そしてパートなどの雇用形態だけではなく、リモート勤務など働き方そのものが多様化してきました。そんななか、ひとつのキャリアにこだわらない「パラレルキャリア」への注目が高まってきています。
パラレルキャリアについて、詳しく解説した記事はこちらをご覧ください。
上記の様に新卒市場に変化がある中で、企業は優秀な学生に向けて、SNSやチャット、Eメール、Webサイト等のオウンドメディアの運用をとおして情報を発信することで、自社を認知してもらい、内定承諾までのプロセスを最適なものにする必要性が生じてきました。
以上が新卒市場における採用マーケティングが重要になってきている理由です。
参照:新卒一括採用、転機に 経団連が就活ルール廃止発表
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO36281670Z01C18A0MM8000/
転職市場の変化と採用マーケティングの重要性が増している理由
現代の日本において、終身雇用は崩壊とまでは言い難い傾向はありますが、実際に、若年期に就職して、同一企業に勤め続ける「生え抜き社員」の割合は長期的に減少傾向にあります。
厚生労働省によると、大卒の生え抜きの社員の割合は1995年に6割以上ありましたが、2016年には5割程度まで低下しています。
参照:我が国の構造問題・雇用慣行等について
https://www.mhlw.go.jp/content/11601000/000358251.pdf
人材の流動化が進むことで、企業は即戦力の転職希望者を採用する必要性が生じています。また、転職希望者が利用する求人サイトへの広告費や転職エージェントへの斡旋料をはじめとしたコストが増加傾向にあると言われています。
また、転職市場においても、働き方や価値観の多様化が進んでいます。
そのため、ミスマッチ採用による転職後の早期退職を防ぐために、自社の魅力や必要としているポジションを正確に伝えるダイレクトリクルーティングやリファ―ラル採用などが採用方法として用いられるようになってきました。いずれの採用方法もマーケティングの視点を取り入れた採用マーケティングであり、オンラインでの活動が主となります。
※ダイレクトリクルーティングは企業が直接求職者にアプローチする採用方法です。
※リファ―ラル採用は社内外の信頼できる人脈を介した紹介及び推薦による採用方法です。
以上が転職市場における採用マーケティングが重要になってきている理由です。
採用マーケティングを行うことで得られる2つのメリット
採用マーケティングを行うことで得られる企業側のメリットは次のとおりです。
2.採用コストを抑えることができる
1.自社のビジョンに共感した人材を採用することができる
SNSやWebサイトをはじめとしたオウンドメディアで自社の魅力を発信することで、自社の認知度を高めるだけでなく、「ファンづくり」の活動にもつながります。結果的に自社の商品やサービスを深く知ってもらい、自社のビジョンに共感して働きたいという意思を持つ「ファン」が応募してくる可能性が高まります。
2.採用コストを抑えることができる
採用マーケティングにおいては、ターゲットを絞り込んでアプローチするのが一般的です。そのため、求人媒体の選定や活用するメディアやツールを絞り込み活用することができるようになります。また、自社のビジョンに共感した人材を採用することで、短期間で離職されるという採用のミスマッチを防ぐことができます。結果的に、採用コストを抑えることにつながります。
業務委託のデジタルマーケターの登用で失敗するリスクは?解決策まで解説
「業務委託のデジタルマーケターの採用に失敗するリスクとその解決策について解説します。」
採用マーケティングを成功させるための2つのポイント
採用マーケティングを成功させるためのポイントを2点紹介します。
2.求職者の活動状況を可視化し、改善につなげる
1.企業認知から内定承諾までのプロセスを設計する
入社までのプロセスを「自社の認知」「自社への興味」「応募(エントリー)」「選考」「内定(オファー)」「内定承諾」などのプロセスに分け、プロセス毎に、最適な情報を配信していくコミュニケーションのスタイルを確立します。コミュニケーションはSNSやメールやWEBサイトなどのデジタルを駆使して求職者との連絡のやり取りを最適化することが重要です。
2.求職者の活動状況を可視化し、改善につなげる
求職者の「Webサイトで採用ページを閲覧した」「自社にエントリーした」「企業説明会に参加した」「面接をした」などの活動状況を顧客管理システムなどを活用して把握し、求職者が何に興味を持っているのか、就転職にあたり何を重視しているのかといった情報を分析することで、求職者に対して適切なフォローを行うことができるようになります。
企業における採用マーケティングの事例紹介
採用マーケティングを実施している電機メーカーA社の事例を紹介します。A社は採用マーケティングに力を入れており、「採用マーケティング室(現「採用ブランディング課」)」を設置して、採用活動に取り組んでいます。
「求めている人材像のエントリーがない」という課題に対し、マーケティング視点のアプローチでブランディングを行いながら、求職者の感情とつながり、エンゲージメントを深めて、支持を得る施策を行っています。
まとめ
上述したとおり、少子高齢化の進展により、労働人口は減少の一途を辿りつつあります。また、新卒市場では日本経済団体連合会(経団連)の採用ルールが2021年に廃止され、転職市場では人材の流動化が進んでいます。また、求職者の価値観が多様化する中で、企業における優秀な人材の獲得競争は激しさを増しています。
デジタル化が急速に進む昨今では、採用においても、デジタルを駆使して求職者とのコミュニケーションを最適化することが優秀な人材を確保し、企業を成長させていくことにつながります。本稿で解説した採用マーケティングを成功させるためのポイントを抑えて、日々の採用活動を行うようにしてください。
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