イベントの中止や延期、飲食店の営業時間短縮など、新型コロナウイルスの感染拡大はわたしたちの生活に大きな影響をもたらしました。
企業における採用活動もそのうちの1つ。たとえば、大手広告代理店の電通は2021年1月から200名以上の正社員を業務委託契約に切り替え、固定報酬に加えて成果に応じたインセンティブを付与する制度をスタート。
また、ヘルスケア製品の開発・販売でトップクラスのシェアを持つタニタもリモートワークの拡大を視野に入れ、全社員の約10%にあたるスタッフと業務委託の再契約を結んでいます。
今回はそんなコロナ時代の採用戦略をテーマに、優秀な業務委託人材の確保に欠かせないオンライン面談のメリットや進め方、おすすめのツールをご紹介していきます。
オンライン面談のメリット
まずはオンライン面談のメリットについて。候補者と直接接触するのを避け、感染拡大の防止につながるオンライン面談ですが、それ以外には具体的にどういった利点があるのでしょうか?
幅広く人材を募れる
ある大手人材サービス会社が行った調査によると、中途採用における候補者の50%以上が「スケジュールが合わない」、「移動にお金・時間がかかる」といった理由で面接を辞退しているそうです。
オンライン面談の何より大きなメリットは、候補者のそうした負担を抑えられること。専用のツールを導入すれば、日時を指定してわざわざオフィスに足を運んでもらう必要はありません。お互いの業務の合間などを利用してオンライン上でスムーズに面談を行えます。
おのずと応募の間口は広がり、海外に在住しているハイスキルなマーケターやクリエイターを含めて幅広く人材を募れるようになるでしょう。
客観的な評価につながる
従来の対面型の面談・面接の場合、面接官以外のスタッフがディテールを把握するのはなかなか難しいもの。面談の進め方は担当者によってさまざまなうえ、候補者の服装や表情、話し方といった人となりから受ける印象は個人の主観によっても左右されるからです。
面接官個人の価値観や考え方が意図しないバイアス(偏見)を生み、それがそのまま候補者の評価となって結果的に優秀な人材を逃してしまうケースもあるかもしれません。
一方のオンライン面談なら、ツールの録画機能を使って面談内容を丸ごとアーカイブとして残せます。録画した動画を複数のスタッフで共有してディスカッションすればより客観的な評価が下せますし、動画を参考にしながら面談の進め方を標準化したり、ロープレを通じて採用担当者のスキルアップを図ったりすることも可能です。
オンライン面談の進め方
続いてオンライン面談の進め方についてご紹介してきます。
ツールと周辺機器の準備
コロナウイルスの感染拡大とリモートワーク化を背景に、Zoomをはじめとする多くの企業がオンラインのコミュニケーションツールをリリースしています。
機能や料金は製品によってさまざま。製品によっては面談後にアンケートを送ったり、資料を全画面に表示させられたりするものもあるので、デモ版などを利用して使い勝手を確かめつつ、自社の予算・採用スタイルにマッチするものをインストールしましょう。
中長期的なスパンである程度まとまった人数のフリーランスを採用していくのなら、アカウント数や同時アクセス数に制限のない製品を選ぶのもおすすめです。
その際、できればあわせて用意しておきたいのが外付けのマイク付きヘッドフォン
現行モデルのPC端末の多くにはマイクとスピーカーが内蔵されており、オンライン面談ツールのほとんどがそれに対応していますが、内蔵型のマイクは周囲の雑音を拾いやすく、面談の進行に支障をもたらすことも。外付けのヘッドフォンを使えばそうした雑音を完全にカットし、相手の声をスムーズに聞きとれるようになります。
テスト
ツールと必要な機材を用意したら複数の端末からログインし、問題なくコミュニケーションがとれるか、面談を滞りなく進められるかテストします。
画面越しのオンライン面談は表情がわからないと相手を不安にさせるため、周囲の明るさに気を配るのが大事。
また、障害物の多い狭い場所で無線LANを利用すると通信が途切れがちになることがあるので、そうした場合は十分な広さが確保されたコワーキングスペースやレンタルオフィスの利用も視野に入れて検討しましょう。
告知
テストが済んだら候補者と連絡をとり、面談のスケジュールとあわせて事前準備や当日の流れを告知します。オンライン面談ツールのほとんどは管理者側が面談日時を設定し、ログインIDとパスワードを発行するだけで相手を招待できるので、候補者側にアプリをインストールしてもらう必要はありません。
ただし、端末のスペックや通信環境によっては不具合が出ることもあるため、発行したID・パスワードで問題なくログインできるか、事前にチェックするよう伝えておきましょう。
また、面談本番中に万が一通信が途切れた場合に備え、代替手段としてスマートフォンの電話番号、あるいはチャットができるソーシャルメディアのアカウントを聞き出しておくのがおすすめです。
おすすめのオンライン面談ツール3選
1.「harutaka」
株式会社ZENKIGEN(東京都千代田区)が提供しているオンライン面談ツールです。NTT東日本や小林製薬、ソフトバンクといった大手をはじめ、多く企業に利用されており、IT製品の比較サイト『ITトレンド』の資料請求数ランキングでは第1位に選ばれました。
特徴は採用活動のあらゆる局面をカバーする豊富な機能。
候補者やスケジュールの登録・管理、オンライン面談の実施をはじめ、リアルタイムに連絡がとれるチャットや、メール開封率・ログイン状況などを把握するための分析機能が搭載されています。うまく活用すれば面談の効率化とあわせて採用戦略の見直しなどにも効果を発揮するでしょう。
ある福祉関連サービス企業では「harutaka」を導入したことによって採用コストを約30%削減し、当初の予定の2.5倍の人材を確保しています。
2.「Calling Meeting」
株式会社ネオラボ(東京都新宿区)が開発・販売を手がけるオンライン面談ツールです。中小企業やベンチャーを中心に幅広く導入されており、口コミ・評価サイトでも高い評価を獲得しています。
人気の理由はコストパフォーマンスの高さ。管理者側のユーザー1名につき1,500円の料金で、ビデオ通話、チャット、ホワイトボード、録音・録画といった機能を制限なく利用できます。通信環境にあわせて通話の品質を調整することも可能です。
開発元では利用者の声を取り入れながらアップデートを重ねており、無駄な要素が省かれたシンプルでわかりやすい画面も好評を得ているようです。
3.「V-CUBE ミーティング」
こちらは画質・音質に定評があるオンライン面談システム。テレビ会議と遜色ないHD対応の通信技術が採用されており、映像のブレやノイズをほぼ完璧にシャットアウトします。通信自体の安定性も非常に高く、採用のほか複数拠点をつなぐオンライン会議に利用している企業も少なくないようです。
ちなみに提供元の株式会社ブイキューブは5,000社以上のクライアントを抱える東証一部上場企業。2006年にはISO27001(情報セキュリティマネジメントシステム)の認証も取得しており、不正アクセスや情報漏洩などの心配もいりません。
最後に
今回はオンライン面談のメリットや進め方、おすすめの面談ツールについてご紹介しました。新型コロナウイルスの影響で働き方や採用戦略が変化を迫られるなか、業務委託人材の活用に取り組んでいる方の参考になれば幸いです。
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