インターネットの普及にともない、日本全体がデジタルシフトしています。スマートフォンの普及率は約80%※となり、消費者の「検索・比較・検討」という消費行動は企業として無視出来なくなりました。企業にとってデジタル対応することは急務となり、デジタルマーケティング人材の需要は増すばかりです。(※参照:総務省 2018年 ICTサービスの利用規約)
しかし需要に供給が追いつかず、マーケティング人材の採用は困難を極めています。本稿では、マーケティング人材が不足している理由と、人材確保の対策を解説します。
マーケティング人材の採用が困難な5つの理由
企業においてデジタルマーケティング分野を強化しようと考えても、人材を確保出来ないケースが増えています。デジタルマーケティング分野での人材が不足している理由を、5つ紹介します。
理由1.即戦力人材は少ない
デジタルマーケティングに対応出来る人材を採用しようと考えた場合、「興味がある」「ちょっとかじった」程度の人は見つかっても、即戦力となる人材を確保するのは非常に困難です。
これにはそもそも、デジタルマーケティング分野の歴史が浅いことが関係します。デジタルの市場は1990年代のパソコンやポケットベルからフィーチャーフォン(ガラケー)、そしてスマートフォンへと30年かけて急速に進化してきました。本格的にインターネットが普及したのは1990年代の後半と考えると、その歴史はまだ20年ほどしかありません。
そのためデジタルマーケティングの領域そのものが曖昧で、企業側だけではなく応募者自身も「デジタルマーケティングの業務」を明確にイメージ出来ずにいるケースが多くあります。デジタルに詳しい年代でも、システムには詳しいけれどもマーケティングの知識はないなど、両方の知識を兼ね備えた人材は非常に少ないことが現実です。
理由2.年収が高く経費を要する
デジタルマーケティングの人材が不足している、つまり需要と供給のバランスが崩れているため、人材を見つけても求められる報酬が高くて採用出来ない場合があります。デジタルマーケティング分野に長けた人材を採用しようと考えた場合、年収は700万以上を想定しなければならないためです。
しかし企業はより少ない予算で売上・利益を出すためにデジタルマーケティングの分野に注力したいと考えています。コストをスリム化するために、高額な人件費をかけることにトップが難色を示す気持ちは分からないでもありません。その結果企業が提示する金額とデジタルマーケターが希望する報酬にミスマッチが生じてしまい、採用に至らないケースが多いのです。
理由3.採用しても定着しない
終身雇用が崩壊し、転職がごく当たり前となった今では、デジタルマーケターをなんとか確保した場合でも定着しません。採用したデジタルマーケターが優秀であればあるほど引き合いは多く、より働きやすい、条件が良い、やりがいがあるといった理由で転職してしまうためです。
デジタルマーケティングの世界では、3〜5年で転職するのはごく一般的なため、企業は採用を続けるのであれば良い条件を提示し続ける必要があります。また転職することを前提として、常に人を探し続ける、または人材を育成していかなければならないでしょう。
理由4.社内でキャリアプランを描くのが難しい
これまでデジタルマーケティングに該当する部署がなかった中、デジタルマーケティングの人材を採用したいと考えた場合には、どのようなポジションにつければ良いのかが明確に決められないことがあります。
複数のデジタルマーケターを採用したとしても、新しい人材だけで新規の部署を立ち上げることは難しく、かといって経験のない既存の社員を上司につけるわけにもいきません。新規でデジタルマーケティングを始める時には、人材の採用はさらに難しくなると考えられます。
理由5.デジタルマーケット分野は進化が速い
デジタルマーケットの歴史は浅いものの、その進化は目覚ましいものがあります。デジタルマーケティングがまだマーケティングの一部であった頃、マス広告などを扱っていたマーケティング人材はアナログがメインで、高齢化が進みデジタル化のスピードについていけずにいるでしょう。
テクノロジーは日々進化と変化を続けていますが、そのスピードに追いついて対応出来るデジタルマーケターは、世界中で見てもごく少数で、圧倒的にリソースが不足しているのが現実なのです。
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優秀なデジタルマーケティング人材採用に向けた3つの対策
それでは優秀なデジタルマーケティング人材を採用するために、出来る対策を3つ紹介します。
適切なオファー金額を用意する
前述した通り、デジタルマーケティングの分野で活躍出来る人材は世界的に見ても少数で、圧倒的な売り手市場です。そのような中で即戦力となる人材を確保しようと思うのであれば、適切なオファー金額を用意して提示する必要があります。
デジタルマーケティングに長けて結果を出せる人材をヘッドハンティングするとなると、年俸だけでも1,000万円以上はかかると考えなければなりません。自社の事業規模にあわせた事業計画を綿密に立てたうえで、人材に投資する価値を見いだす必要があります。
今後ますますデジタルシフトが加速することは疑いようもなく、どこでデジタルにむけて舵を切るのかは重要な判断となるでしょう。
職務内容の記述を明確にする
人材を探しオファーを出すのであれば、自社のどのポジションにどのように組み込んで、どんな業務を任せるのかを明確にしておく必要があります。圧倒的な売り手市場のデジタルマーケターは、厳しい目を持ってオファーを吟味すると考えるのが妥当です。
しかし受け入れる企業側はデジタルマーケティング分野に対する理解が不足していることが多く、適切なオファーが出来ないところが多いのが現実です。自社に受け入れ、どのような業務を行ってもらい、どのような成果を期待するのかと言ったことをあらかじめジョブディスクリプションなどで明確にしたうえでオファーをかけるようにしてください。
エージェントを上手く活用する
自社にデジタルマーケティング領域に関する知識が不足していてどのようにオファーすれば良いのか分からない、もしくは人材をどこでどのようにして見つければ良いのか分からないと言った場合には、エージェントを上手く活用するのがお薦めです。
エージェントには有数な人材が登録しており、希望に見合った適切な人材をマッチングしてくれます。またエージェントを利用すれば、自社で社員として採用せずとも業務委託で必要な業務を必要な時間だけ依頼することも可能です。
特に最近は、デジタルマーケティングに特化した優秀な人材をそろえたエージェントも増えてきました。そのようなエージェントを活用すれば、依頼側のニーズや人材に必要なスキルも把握しているため、ミスマッチを防げます。
優秀なマーケターは複数の企業から業務委託で仕事を受託し、フリーとして活躍している人が多いため、そのような人材とのマッチングが期待出来るエージェントは検討に値するでしょう。
投資と回収のプランを描く
デジタルマーケターを採用するにはコストが発生するため、投資に見合った回収が得られるまでのプラン設計は重要です。一般的にデジタル分野は投資をしてすぐに成果が出るものではありません。ある程度の時間は必要になるため、経営体力も必要になります。
しかしデジタルの波に乗り遅れては、これからの時代生き残ってはいけません。大きく投資出来ないのであれば初めは業務委託で小さくスタートするなど、自社にあったプランを設計するのがお薦めです。
フリーランス人材を業務委託で活用することに関して、詳しく解説している記事はこちらになります。
まとめ
デジタルマーケティングの進化スピードに対応出来る人材は圧倒的に不足しているため、即戦力の人材確保は難しく、そしてコストがかかります。しかしどこかでデジタルシフトに踏み切らなければ、時代に取り残されていくばかりです。
エージェントを上手く活用するなどスモールスタートも視野に入れ、デジタルシフトに足を踏み入れていきましょう。
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