大企業にはない最新の技術やハウハウを駆使し、新しいアイデアで市場を開拓していくスタートアップ企業。
「短期間で急成長」「社会問題を解決」などの特徴を持ち、アメリカで注目され続けていますが、最近では日本でも約2,000社のスタートアップ企業が存在するといわれています。
スタートアップと聞くと、優れたスキルと知識を持った精鋭が活躍しているイメージがありますよね。
しかし、実際には「新しい事業を始めたいけどスキルのある人材がいない…」「なかなか若手を育てる時間が取れない…」などの悩みを抱えている企業もいることでしょう。
そんな悩みを抱えている場合には、業務委託人材を活用するのがおすすめです。
今回は、スタートアップ企業の業務委託について、メリットやデメリット、委託する際のポイントなどを紹介します。
日本のスタートアップ企業が抱える2つの問題
まずは、日本のスタートアップ企業が抱えがちな問題を2つほど紹介します。
①必要な人材を確保するのが難しい
1つ目は、必要な人材を確保するのが難しいということです。
スタートアップ企業は、既存の製品やサービスの延長線上にあるものではなく、今まで誰も思いつかなかったような発想で新しい市場を開拓していくという特徴を持っています。
短期間で成長が見込める事業を複数、同時並行で進めているケースも少なくありません。
そのため、1人が抱える仕事量が増えてしまったり、挑戦したい分野のスキルを社員が持ち合わせいなかったりと、新たな人材を必要とする場面がでてきます。
しかし、スタートアップ企業は大手と違い、知名度や業績が低く、求人を出してもなかなか条件に見合う人材が集まらないのが現実。
実際にスタートアップ向けに行ったアンケートでも「採用ブランドが低く、欲しい人材が集まらない」という声が多く挙がったそうです。
また、採用をメイン業務としている社員がいることはほとんどなく、他の業務と兼任しているため、採用に時間をかけることができないという問題もあります。
他にも、スタートアップ企業の中には、創業したてで資金が少なく、欲しい人材を見つけたとしても正社員として雇うことは厳しく、採用条件のミスマッチが起きてしまうことも。
スタートアップ企業の中には採用に関して課題を抱えている企業が少なくありません。
②マネジメントが行き届いていない
2つ目は、マネジメントが行き届いていないということです。
実は、スタートアップ企業の中では総務、法務、人事などコーポレートスタッフの人材不足が目立ってきているんです。
少数精鋭で事業を進めているスタートアップ企業では、「総務の仕事はやったことないけど、他にできそうな人がいないからとりあえず他の業務と兼任でやっている」というように経験がない人が手探り状態でコーポレート業務を担っているというケースも少なくありません。
会社がまだ小さいうちはどうにか対応できるかもしれません。
しかし、事業が波に乗ってきて拡大させようというタイミングで初めて、管理できていない部分があることが明らかになったり、細かく決めないといけないことが出てきたりと問題が山積みになってしまうことも…
他にも、新しい人材を採用できても、会社の人事が機能していないと「育成方針が定まっていない」「人手が足らず育成に時間をかけられない」などの問題もでてきてしまいます。
コーポレートスタッフの不足は会社経営のスピードを下げてしまう原因になるといえるでしょう。
ここまでで、スタートアップ企業が抱えがちな問題を2つほど見てきました。
スタートアップが抱える問題を解決するには、ズバリ、「業務委託人材の活用」がおすすめです。
では、業務委託人材の活用にはどんなメリットがあるのでしょうか。以下で詳しく見ていきましょう。
スタートアップ企業が業務委託人材を活用する3つのメリット
スタートアップ企業が業務委託人材を活用することには「コストを削減できる」「メイン業務に専念できる」「専門的なスキルを持っている人材を採用できる」といった3つのメリットがあります。
1つずつ見ていきましょう。
①コストを削減できる
業務委託人材を活用することで、人件費にかかるコストを削減することができます。
例えば、短期間で新しい事業に挑戦してみることになり、ライターが必要になったとしましょう。
短期間の事業のために、ライターを正社員として雇うことはできませんよね。
自社にどんな力が不足していて、どれくらいまでなら報酬を支払えるのか、明確にすることができれば、正社員として雇うよりも、業務委託としてフリーランスなどに依頼したほうが費用を抑えることができます。
また、自社に必要な能力さえ明確にすれば、その分野に特化した人材を見つければいいだけなので、人材育成に時間とお金をかける必要もなくなります。
②メイン業務に専念できる
スタートアップ企業では、メイン業務の他に自分の専門外の業務を兼任していることも珍しくありません。
特に、コーポレート業務は兼任で行っていることも少なくないでしょう。
そこで例えば、経理や法務などの実務だけ外部委託するなど工夫することで、会社が持つ人材や資金などをメイン業務に集中させることができます。
仕事の効率を上げてどんどん事業を拡大させたり、新たな市場を開拓していくためにも、専門的なスキルを持っていない分野や自分じゃない方が効率良くできると判断した分野の業務は外部に委託するのがおすすめです。
③専門的なスキルを持っている人材を採用できる
スタートアップ企業では、今までやってきたことのない未知の領域に挑戦することもあるでしょう。当然、社内に必要なスキルが揃っていないこともありますよね。
現在では、なにか1つの分野に特化したスキルを持っているフリーランサーが増えています。
デザイン制作やライティング、Web業務など専門的な知識やスキルが必要な分野の仕事はプロの力を借りたほうが効率面もクオリティ面もメリットがあります。
専門的なスキルを持っている人材と一緒に仕事することで、社内にはない発想を取り込めることもありますし、これから先も一緒に仕事したいと思える人材に出会うきっかけになることもあります。
人材不足で困っている方は一度、フリーランスに外部委託してみるのも1つの手です。
3つのメリットを踏まえて「自社でも検討してみるか」と思い始めた方もいるかもしれませんが、実は業務委託の活用にはデメリットも存在します。
以下で詳しく見ていきましょう。
スタートアップ企業が業務委託人材を活用する3つのデメリット
スタートアップ企業の業務委託人材活用には「うまく連携が取れない」「ノウハウが蓄積されない」「セキュリティリスクが伴う」といった3つのデメリットがあります。
①うまく連携が取れない
特定の業務を外部に委託する場合は、自社で一緒に業務に取りかかるわけではなく、委託先で遂行されることがほとんどです。
そのため、リアルタイムで進捗を確認することが難しく、急遽対応して欲しい事項がでてきた時に対応してもらえず、二度手間になってしまったなんてことも…
リアルタイムで連携を取るのは難しいにしろ、「1つ1つの工程が終わるごとに報告してもらう」「キリの良いタイミングで変更点がないか確認してもらう」など自社と委託先の間で連携のとり方を工夫しておく必要があるでしょう。
②ノウハウが蓄積されない
業務委託すると、常駐の形を取っていない限り、依頼業務の進め方などのノウハウを自社に蓄積することは難しいです。
ゆくゆくは委託してる業務も社内で完結させたいという場合には、業務委託契約の内容にもよりますが、「ノウハウを教えて貰う機会を設ける」「引き継ぎをしっかり行ってもらう」など対策を考えておくことも必要になってきます。
③セキュリティリスクが伴う
ある1つの業務だけを委託しているという場合でも、外部委託を行う以上は、会社の情報が外部に漏れてしまう可能性があります。
外部委託を行う際は、まずは社内で情報の取り扱い方法についての方針を固めておくことが大切です。
会社の方針に沿って、委託先とセキュリティに関してのすり合わせを行うようにしましょう。
優秀なスキルを持っている委託先だとしても、自社が求める管理体制を取ってくれない場合は他の委託先を見つけるなど、セキュリティに関しては慎重に判断することが大切です。
スタートアップ企業で業務委託人材を活用するか検討する際には、今回紹介したメリットとデメリットを参考にしてみてください。
では、最後に実際に業務委託人材を採用する際のポイントを紹介します。
スタートアップ企業が業務委託人材を採用する際のポイント
自社に必要なスキルや知識を持った人材が見つかり、「今すぐにでも欲しい!」とすぐに依頼するのはおすすめできません。
まずは、外部人材に「何をしてもらうのか」「どれくらいの単価で仕事してもらうのか」など、業務委託する際のルールをしっかり決めておくことが大切。
定量的なルールを決めておかないと、「あれだけの仕事をしたのに自分がもらえると思っていた金額と違う…もう二度と一緒に仕事したくない!」というように、後々委託先とのトラブルに発展してしまう可能性があるので注意が必要です。
報酬については、「時給型」「納品型」など、依頼する仕事に合わせて前もって決めておくようにしましょう。
これを聞くと「時給型にすると、業務に対してモチベーションが保てないんじゃ…?」と不安を抱く方もいるかも知れません。
時給型を選択する際には、採用する前に両者で「時給の定義」を明確にすることがおすすめです。
自分の報酬の範囲で求められている業務を何時間・何日間でこなすかで、自分の時給が変わるという意識を持たせるようにしましょう。
そうすることで、できるだけ早くアウトプットをしようという意識が生まれます。
与えられている業務を短い時間で終わらすことができれば、その分他の仕事に取り組むことができて自分の総報酬も増やせるわけです。
自社も委託先も、気持ちよく仕事できるように、採用前にルール設計をしっかりするように心がけましょう。
スタートアップ企業に足りない人材は外部委託を活用して強化しよう
スタートアップ企業は、優れたスキルを持った精鋭たちが集まり少人数で会社を支えていることが少なくありません。
そのため、新しい事業に挑戦しようとなった時にスキル不足や人材不足に頭を悩ませることもあるでしょう。
現在では、専門的なスキルや知識を持ったフリーランスが増えてきています。
新しい事業にスピード感を持って取り組むためにも、スタートアップ企業に足りないスキルは思い切って外部のプロに委託してみることがおすすめです。
業務委託を検討している方は今回紹介したメリットやデメリット、採用時のポイントなどを参考にしてみてくださいね。