営業で毎回新規のお客さんを開拓していくのはとても骨が折れることですよね。
日本の多くの業界は成熟しきってしまっているため、新しいお客さんを獲得し続けていくことは難しくなってきています。
そんな現代において一番有効な営業方法は、リファーラル営業、つまり紹介によって案件を獲得することです。
紹介された場合、「買わされるのでは」と身構えるのではなく、知り合いが良いと言っていたからという口コミの影響力で購入してしまう気持ちはよく分かりますよね。
では、紹介による営業がどうしてこれほどまでに大切なのか、紹介してらうためには一体どんなことをすれば良いのかについて見ていきましょう。
リファーラルマーケティングとは
リファーラル(referral)とは、「紹介、推薦」という意味です。
つまり、リファーラルマーケティングとは、信頼できる人脈元からの紹介、推薦を受けて案件を獲得することです。
他にも、企業に採用したい人材を、信頼できる人の推薦によって採用する方法をリファーラルリクルーティングとも呼びます。
広い意味では、SNSを活用した口コミマーケティングも、リファーラルマーケティングの一種だということができます。
リファーラルマーケティングが必要な理由
私たちは、スマホでSNSを見ていても、ネットを見ていても、電車に乗っていても、テレビを見ていても、あらゆる状況下で広告に触れていますよね。現代は明らかに情報量が増えている状況です。
しかし、人が処理できる情報量には限界があります。
つまり、いくら広告を打ったり、自分の商品をお勧めする記事を書いたり、せっかくお金をかけて緻密に考え抜いたコンテンツを作っても、見てもらえる可能性はとても低くなってしまっているのが現実です。
それでは、現代ではどんな情報が見てもらえるのでしょうか?
それは、信頼できる人が発信している情報です。
友達が買って良かったと言っていたもの。知り合いがInstagramのストーリーでお勧めしているもの。権威と信憑性がある人が買うべきだとtwitterで言っているもの。
そういうものを買った経験が、あなたにもありませんか?
情報があまりにも溢れ過ぎた現代では、その情報を「誰が」発信しているかというところに意識が向けられるのです。
だから営業においても、広告を打ったりして新たなお客さんを自分から見つけにいくよりも、すでに関係値を構築している人に、自社のことを知り合いに紹介してもらって案件を獲得する方が、コストをかけずに案件を獲得できます。
ここからはリファーラルマーケティングについて、企業・紹介者・紹介先それぞれのメリットを見ていきましょう。
リファーラルマーケティングのメリット
企業のメリット
コストを抑えられる
リファーラルマーケティングでは自社の人員を割いて新しいお客さんを獲得する必要がないので、営業にかけるコストを減らすことができます。
それによって、商品の開発やアフターフォローにお金をかけることが可能になり、本来お客さんに届けたかった金額で商品を提供することが可能になります。
より良い商品をお客さんに提供できるという点でも、リファーラル営業は是非とも使っていきたい手法であると言えます。
商品力を高められる
前述の通り商品力を高めることにお金を使うことができるようになるので、競合と値段下げ競争をする必要も、商品力で負けることもなくなります。
自分たちだけではアプローチできなかった顧客と関われる
自社では開拓できなかった顧客層や、思いつきもしなかった業界の人にアプローチをすることができます。
実際に顧客として自社商品を使った上で、商品の良さをわかっている人が顧客を紹介してくれるからです。開発者サイドでは予測もできなかったような商品の活かし方を思いついてくれるのは顧客かもしれません。
案件化率が高まる
広告やテレアポなど、新しく接点を持ったお客さんに対して営業をかけても、なかなか成約率は高くありません。
紹介者が間に入っていると、その紹介者がいるおかげで商品への信頼度は上がりますし、営業の際も共通の知り合いの話題から始められたりと、関係値を構築する手間を省くことができます。
また新規に接点を持ったお客さんに比べて、後々もアプローチを取る機会を得たり紹介者が後押しをしてくれたりと、成約まで結びつく可能性が高くなることが多いです。
紹介者のメリット
紹介を出してもらうことは、決して売りたい企業側だけが得する押し付けがましい施策というわけではありません。
その商品が本当に良かった場合、紹介を出した仲介者の企業は、商品を販売している側からだけではなく、紹介先からも良い商品を紹介してくれた人として感謝されます。
ビジネスにおいて、単発限りのお付き合いになってしまうのはとてももったいないことです。なぜならタイミングによってニーズが復活したり、他の商品もお願いされたり、いわゆるアップセル・クロスセルが発生するからです。
ですから良い商品をお勧めして喜ばれることは、長い間関係を続けていくことにはとても有効な手段です。
また、紹介してくれた人にはインセンティブを渡すこともあります。
広告や営業にお金をかけない分、紹介してくれた人にお金を渡すことができるからです。
広告を打って見えない相手にお金を払うよりも、目の前の知り合いに還元できる方がきっとあなたも嬉しいはずです。
紹介先のメリット
そして、商品を買う側にとってもメリットがあるということも忘れてはいけません。
商品を買う際に、実際に使っている人の意見を聞けることはとても安心感があります。
営業してくる人の話は、どうしても自社商品を売るために良いことばかりを伝えてくるように聞こえてしまいます。
それに比べて、知り合いが使った上での使用感は信頼できますよね。似たような商品・サービスが世の中に溢れている以上、実際に使った上での経験は選ぶ際に最も参考にするべき情報です。
また、商品開発にお金を掛けていれば、よりお客様に寄り添った商品にすることができます。
広告費にお金が費やされているよりも、商品の開発や支援にお金がかけられてより良い商品になっている方がお客様にとっても良いはずです。
つまりリファーラルによって案件を取ることは、三方良しな方法なのです。
リファーラルマーケティングを成功させるコツ
リファーラルマーケティングを成功させるためにはどうすればいいのでしょうか。
紹介をお願いするのは厚かましくなってしまわないかと懸念してしまい、なかなか紹介の依頼ができないという人もいるでしょう。
ここからは、リファーラルマーケティング成功のコツを見ていきましょう。
紹介を出してくれそうな顧客を把握する
紹介営業は勝手に生まれるわけではありません。
既存のお客さんに期待値を遥かに超える満足を覚えてもらうことで、やっと紹介しようと思ってもらえるものです。
また接点の回数を増やすことで、常に思い出してもらいやすいような状況を作り出すことも必要です。
もちろんそれほどまでに満足してもらい、接点を多く持つことを全てのお客さんにできるのが理想であることは間違いありませんが、それを実現するほどのリソースを持っている会社は多くないでしょう。
紹介を効率的に出してもらうためには、紹介を出してくれそうな顧客に対して、アプローチ回数を増やしたりサービスをより丁寧にしたりとリソースを集中させることが大事です。
まずは、顧客を紹介を出してくれそうかどうかという視点で振り分け、管理する必要があります。
その中で考えなければいけない基準は「過去の紹介実績×満足度×最近の接触」の三つの軸です。
顧客を上記の基準でランク付けし、紹介してくれる見込みの高いお客さんに対しては最大限のサービスを提供します。
28の法則で、紹介を出してくれる確率が大きい顧客は限られてくるということです。
また、紹介されて購入した人はまた他の方に紹介してくれる可能性が高かったりもします。
紹介を出してもらえるようなセールスをする
紹介を出してもらいやすくするには、まずはお願いをする人が、紹介営業が三方良しなことを理解しておく必要があります。
だから、断られるかもという不安や、ガツガツと紹介を依頼することで煙たがれたりしないのかという懸念を持つ必要はありません。
紹介営業は携わる人全員にとってメリットがあることなのだと分かった上で、自信を持ってお願いしましょう。
また、紹介の依頼を出すタイミングも重要です。
紹介してくれやすいタイミングは三つです。
それは、「契約した時」「納品した時」「使って1,2ヶ月経った時」。
この全ての段階で紹介を依頼するような会話をすることが大切です。
そして、依頼の仕方も気を付けましょう。
大事なのは、相手にしてほしい次のアクションを、常に具体的に明らかにすることです。
繋いでくれるとおしゃっていただいたときは、すぐにその人とつないでもらいます。その際、なぜ紹介することが三方良しなのかを具体的に説明した上で、紹介で成約した他の事例なども共有していくことが肝心です。これらを伝えることで、紹介することのハードルを下げることができます。
会社を上げて紹介のシステムを作る
どうしても、営業担当者は新規の営業を何件とってきたかで評価されてしまいかねません。しかし、会社を上げて紹介営業に取り組んだ方が断然効率が良いのです。
営業マンの目標も、一人で紹介営業まで完結できることが一人前の営業マンだと評価されるような仕組みにするべきです。
また紹介を出してもらうためのリソースの配分も、顧客のデータを集め、会社として決定していく必要があります。
おわりに
リファーラルは、関わる全員にとって良い施策だということがお分かりいただけたでしょうか。
既存の顧客にいかに満足してもらえるか、そして紹介を出していただけるようなコミュニケーションを意識する必要があります。
言うは易し行うは難しであり、何よりも継続し続けないと結果はついてきてくれません。
既存顧客を管理してリソースを配分することも、実際にお客様と接して紹介を出してもらうことも簡単ではありません。
紹介営業の経験がある人を招いたりして、社を上げて紹介営業の大切さを根付かせていくことが何より重要だと言えるでしょう。