デジタルマーケティングの分野は、ここ10年ほどで急速に成長しています。
マーケティングの選択肢が増え、自社の商品の認知や売上を伸ばしやすくなりましたが、その過程に必要なマーケターの不足が、日本の9割近くの企業で問題となっています。
そのほかにも、企業のマーケティングへの理解不足により、体制が整っていない企業もあります。
今回は、新卒で広告会社に入社後、複数の部署でマーケティングの支援やコンサルを経験され、現在は外資系の事業会社でアプリのマーケティングのアクイジション、インストール獲得を目的としたさまざまな集客を行っていらっしゃる李信和さんにお越しいただいております。
現在、日本の多くの企業が抱えているマーケティングの問題点を、企業に務めるマーケターの視点からお話しいただきます。
李氏の紹介・経歴
インタビュアー:マーケターズプロファイル。このコンテンツは活躍するマーケターの方々にスポットを当て、その秘密に迫るものです。毎回マーケティングの各分野でスペシャルな活躍、活動をされている方をお招きしてお送りしています。本日お迎えしているのは、李信和さんです。李さん、よろしくお願いします。
李氏:よろしくお願いします。
インタビュアー:李さんは新卒で広告会社に入られて、複数の部署で経験を積まれた後、事業会社でマーケターとして活躍されている方です。また途中、副業などで他の会社の業務も経験されています。
マーケティング業務を志そうと思った理由、マーケティングのどこがご自身にとって魅力があったのか、マーケティングの可能性と将来の展望などを深くお伺いできればと思います。よろしくお願いします。
李氏:よろしくお願いします。
インタビュアー:それでは、李さん、簡単に自己紹介をお願いしてもよろしいでしょうか。
李氏:はい。先ほどご紹介に上がりました李と申します。先ほどのご説明の通り、私はもう社会人になって10年ほどたつんですけれども、最初からマーケティングの畑、特にウェブマーケティングの畑でずっとキャリアを積んできておりました。
最初に新卒でサイバーエージェントに入社して、そこから約8年半ほど在籍していたんですが、一貫してずっとウェブおよびアプリのマーケティングの支援、コンサルをさせていただいていました。
そこから某外資系の事業会社、アプリの事業会社に転職をしまして、そこで約1年半以上自社のアプリのマーケティングのアクイジション、インストール獲得を目的としたさまざまな集客を行っているというキャリアになります。
※李氏のブログはこちら
インタビュアー:ありがとうございます。
本題に入る前にちょっとお伺いしたいんですけど、この収録もバーチャルというかテレワークな環境でやっていますが、今、李さん自身はテレワーク、リモート業務みたいな感じでやられてますか。
李氏:そうですね、去年の3月頃から、もうずっとリモートワークです。
インタビュアー:結構早いタイミングからやられてたんですね。
李氏:そうですね、わりとホワイト企業というか、すぐに会社に来てはいけないということで、今の会社に転職した1ヵ月後ぐらいからずっと在宅ワークですね。
インタビュアー:この前ちょっとニュースを見たんですけど、世界のビジネスマンにアンケートを取って、各国どんな反応かまとめたものがありまして。世界的にはビジネスマンの7割以上がテレワーク、リモートワークで満足しているということで、今後も継続したいみたいな調査結果が出ているようです。その中でも満足度でいうと、日本が5割以下と欧米諸国とか先進国の中で一番低かったんですけど、周りはどんな感じですか。
李氏:そうですね、僕の周りは結構テレワーク推奨派が多いですね。
インタビュアー:僕の周りも推奨派の方が多いんですけど、そういうデータを見るとすごく違和感があるんです。やっぱり、マーケティングとか、デジタルマーケティング関連だからみんなフィットできてるんですかね。
李氏:それはあるかもしれないですね。知人の会社の話ですと、知人の会社は50~60代の方が多い会社なんですけど、あまりパソコンに慣れていない方がほとんどなのでテレワークはやりにくいって言ってる人が多いっていうのは聞いたことがありますね。
インタビュアー:テレビとか見てると国会とか含めて、そういう霞が関とか、東京都とかもそうですけど、ああいう所から率先してやらないと本当は駄目ですよね。
李氏:そうですね。zoomのやり方にまだ慣れてないっていう人も、50~60代以上の方には多いんじゃないかなっていう所感です。業界にもよるかもしれないですけれど。
マーケティングとの出会い
インタビュアー:少し残念な感じもしますね。そんな最先端の働き方をしている李さんに、いろいろお伺いしていきたいんですけども、まずはマーケティング業界というか、そこに入るきっかけを教えてください。就職のときからマーケティングを志してたっていう感じなんですか。
李氏:どちらかというと、手に職をつけたいっていう思いが強くて、その中でサイバーエージェントとして内定しました。
元々サイバーエージェント以外にもメーカーの営業職も希望だったんですよね。営業だったら何でもよかったんですけど。手に職をつけるといえば営業っていう、そのときの考えで受けてたんで。
サイバーエージェントで受かったときに、インターネットが絶対今後伸びるよねということで、そこからたまたま興味を持ったのが広告でした。なのでマーケティングに興味を持ったのは入社した後っていう感じですね。
インタビュアー:じゃあ、逆にいうと学生時代は、マーケティングとかはあんまり意識してなくて。
李氏:まったく意識してなかったです。
インタビュアー:知らないみたいな感じだったんですか。
李氏:そうですね、リスティング広告を、リスティング広告なんだっていうのを全然知らなかったですし。
インタビュアー:まあ、そうですよね、業界の人じゃないと意外と分かんないですよね。
李氏:というぐらいまったくのゼロでした。
インタビュアー:そんな感じでマーケティングに接して、これは面白いぞというか。
李氏:そうですね、手に職をという最初の夢を叶えるにはうってつけのスキルかなと今は考えてまして。
というのも、そのスキルってお客さんを支援するっていうコンサル的なところもありますし、今後自分の事業をやるってなったときにも使えますし、結局どんな商売やるにしても集客っていうのが必ず軸になってくるかなと思うんで、そういった意味ではすごくつぶしの利くスキルかなと思いまして。
インタビュアー:最初の会社で結構いろんな部署に行かれたってお聞きしてるんですけど、ご自身で、次はこういうのやってみたいという希望を持っていたという感じなんですか。
李氏:トップダウンで言われた人事移動っていうのももちろんあったんですが、サイバーエージェントの中に事業会社が子会社として存在してまして、そこには自分から手を挙げていきました。
それまでずっと代理事業としてお客さまのビジネス、マーケティングスキルを生かしていたんですが、そこから自社のプロダクトにそのスキルを生かしてみたいなっていう思いでトライさせていただいたという感じですね。
インタビュアー:結構違いました?
李氏: 自由度が大きく違うのかなというのはありました。お客さまの支援ってなると、あくまで主体はお客さまなので、お客さまの中の考え方だったりとか、何かしら社内の制約みたいなものも少なからずあったりするので、そういった意味でいうと自社の方が割と自由度は大きかったかなという所感ではあります。
インタビュアー:いいですね、グループ会社がいっぱいあって。
李氏:そうですね。8年半いたって言ったんですけど、その間も実質転職してるような感覚でした。
インタビュアー:ですよね。
転職について
インタビュアー:その後は、本格的にというか事業会社側に転職されたんですか。
李氏:そうですね。サイバーエージェントといっても、事業会社が複数あるとはいえ、文化としては似てる部分もあったりするんです。その中でちょっと違う、せっかく1回の人生なので、いろんな会社のいろんな風土を味わってみたいなという思いだったり、グローバルアプリに今携わっているんですけれど、そういったグローバルアプリに自社社員として携わってみたいなという2つの思いで入社した感じですね。
インタビュアー:どうですか、行かれてみて、マーケターとしての満足度とかは違ったりしますか。
李氏:ぶっちゃけると、自社とはいえ、会社の制約を決めてるのは他の部署の所が決めている感じなので、結局、自分の本当にやりたいことを100%やるには、自分で事業おこすしかないかなって。
副業について
インタビュアー:会社でいろんな経験をされていたということですが、途中で、最近はやりの副業みたいな形で何社かのお仕事をやったことがあるってお伺いしました。そういった経験もやっぱり今の仕事に生かされたりしてるんですか。
李氏:そうですね。だいぶ生かされてますね。実質的なスキルっていうところでも、副業を通じて、それまでやったことのないことにトライする必要があったりする場面ももちろんありました。
あとはやっぱり自分の市場価値みたいなのをより知れたというか。サイバーエージェントですと、かなりトップクラスのコンサルだったり営業がかなりいっぱいいる組織だったので、自分の立ち位置っていうか、当たり前だよねって思ってたことが、一歩外に出てみると、やっぱりありがたがられたりとか、自分はかなり貴重な体験をしてたんだなというのを感じられたのはすごくよかったですね。
インタビュアー:最初に副業をやってみようと思ったのはどういうきっかけだったんですか。誘われたりとか。
李氏:きっかけは、それこそサイバーエージェントの先輩で副業をやってる先輩がいて、それで自分もやってみたいなって思ったのがきっかけでしたね。副業っていう発想がそもそもなかったんですけど、その先輩の影響で。
個人的に給料を上げるには転職と副業の2つが一番大きいのかなというのは感じていて。1万2万で一喜一憂みたいな感じでやってたんですけど、副業をやると全然、そんな自分が小さかったなあと。
インタビュアー:結構、デジタルマーケ周りだとニーズがあるんですかね。
李氏:デジタルマーケ、やっぱりそうですね、所感では困ってる企業さんが多いですよね。
インタビュアー:いろんな会社のマーケのお仕事を経験されて、いわゆるクライアント企業を見られてると思うんですけど、どうですか、色ってあったりします?
李氏:自社にマーケターがいないケースとか、いても本当にまだ1年目とか2年目でまだまだジュニアのレベルっていう状況の会社がほとんどかなと。本当にサイバーエージェントで当たり前にやってたことが全然できていないなということは結構ありますね。
インタビュアー:意外とそれいろんな所で聞くんですけど、ちゃんとやれる体制じゃないとか、しっかりやれる体制じゃないっていうのは、何が原因なんですかね。
李氏:2つあるかなと思って、まずはそもそもその知識を得られる場面ですね。クライアントさんもマーケティングだけやってるわけじゃないので、社長さんとかいろいろ人員調達とかで奔走している中で知識が入ってきてないっていうのと、2点目がやっぱりリソースが圧倒的に不足しているっていう、この2点が結構あるのかなと。
インタビュアー:ちょっとおっきく言っちゃうと、日本企業の問題点的な感じなんですかね。
李氏:中小企業の数に対してマーケターが不足しているんだろうなというところです。
インタビュアー:副業なんですけど、マーケターはやっぱり副業しやすいですかね。
李氏:かなりしやすいと思いますね。先ほども申し上げた通り、企業の数に対してマーケターが圧倒的に不足しているという状況を裏返していうと、マーケティングスキルさえ身に付ければ、仕事自体はかなりあるのかなと思ってます。
ある程度、なのでマーケティングスキルさえ積めば食いっぱぐれることはないかなっていうのは個人的に思っています。
なので、今、大学生で就活悩んでる方がもしいらっしゃれば、強くマーケティング、特にダイレクトマーケティング。テレビCMとかも華やかでいいんですけど、どちらかというとダイレクトの本当にいわゆる獲得ですよね。ユーザーをちゃんと集客できるスキルを身に付けるような職種に進むのはすごくお勧めですね。
マーケティング自体について
インタビュアー:大学生とか、意外とマーケティングを知らないと思うんですよね、職種として。
李氏:そもそもマーケティングが何かっていうのが結構ふわっとした言葉なので。
インタビュアー:言葉自体は知ってると思うんですけど、本当に何をやるのかは分かんないと思うんですよね。
李氏:そうですよね。実際、結構地味なんですけど、マーケティングスキル×何か自分のやりたいことがあったときに、そこのマーケティングスキルっていうのは、おそらくほぼほぼ確実に役に立つスキルなんじゃないかなと思うので。
ファーストキャリアでダイレクトマーケティング学ぶのは、今後自分のやりたいことが見つかったとき、今はなくても今後見つかったときにそのスキルって必ず生きるので、いったんやりたいことがなければマーケティングの方に進むのは全然ありなんじゃないかなと思いますね。
インタビュアー:大学生はいったんダイレクトマーケに進めと。
李氏:自分のやりたいことのない方は、いったんダイレクトマーケティングの世界に。
インタビュアー:お勧めですと。
李氏:はい。やるのはいいんじゃないでしょうかという。
副業での問題点など
インタビュアー:李さん、副業されていて、気づかれたこととか問題点みたいなこと感じられたことってありますか。
李氏:割と時給で副業依頼するケースがかなり多い、そういった時給志向で依頼される依頼主さんは結構多いかなと思っていまして。
成果物を求めるような種類の副業であれば、もちろんかかった時間とかっていう発想でいいんですけど。例えば知識を提供するとか、そういったブレーンを使うものとかであれば、たくさん手を動かすとかそういう類いのものではないので、そこは時給というよりかは、知識に対する対価物、成果物っていうことで、なんでもかんでも時給で高いお金払ったからといって、たくさん拘束させてもらわないと困るっていうのはちょっとずれてるケースも結構あるんじゃないかなとは思いますね。
時間って分かりやすいんです。分かりやすいんですけど、質の部分でお金を払っていただくっていうのがお互いwin‐winだったりするんじゃないかなと思います。
例えばマーケターとして、週に5日間拘束とかってなった場合、ただやることってそんなになかったりするので、結局時間を拘束してるものの、別にやることないみたいな感じのケースもあるんじゃないかなと思うので、そこは時給で依頼するものと、知識というか質の部分でお支払いするものと、依頼する側の方は分けて考えたらいいんじゃないかなぁと思いますね。
インタビュアー:そうですね。その辺の理解が進むとすごくいいと思いますね。
李氏:そうですね、変なミスマッチとか起きづらいんじゃないかなとは思います。
インタビュアー:李さん自身のマーケの得意領域っていうのはどういうところになるんですかね。
李氏:僕は主にグーグルとヤフーのダイレクトマーケティングってところが一番長いので、そこがメインですね。特にグーグルのアプリプロダクト、GACっていう、Googleアプリキャンペーンってものがあるんですけど、そもそもやってる人材がマーケターの中でもあんまり多くない領域なんです。
そこで結構、手前みそながらトップクラスの会社でやらせていただいてたっていうので、かなりそこは強みというか、あんまり他にない、自分では世界一のコンサルって銘打ってるんですよ。GACに関しては世界一誰にも負けませんよっていうふうに言ってます。自称ですけどね。
インタビュアー:いいですね、そういう得意領域があると。
李氏:そうですね。
インタビュアー:ちょっとさっきの質問に戻るんですけど、企業側のマーケティングの問題点みたいなものって、人材不足もそうなんですけど、他になにかありますか。
李氏:そうですね。問題点でいうと、ちょっと込み入った話になっちゃうんですけど、自動化が進んでいってるこの時代ですけど、とはいえ、やっぱりまだグーグルに丸投げして最適化されるわけではないんですよね、実際。
インタビュアー:はい。そうですよね。
李氏:自動で最適化されるって思い込んでる方が結構いらっしゃるんですけど、実際はしかるべき設定にしないとうまくマシンラーニングするものもしなくなっちゃうみたいな状況だったりするので、そういった設計部分のところで、ちゃんとあるべき姿になってないなっていう課題が1個あるかなっていうところと。
あとはウェブマーケティングに関して言うと、クリエイティブの力で広告効果に影響するところが大きくなってきてる中で、まだまだPDCAをしっかりと回せてる会社が少ないなと思ったりします。
そもそもちゃんとクリエイティブに対して向き合っているニーズも、もちろん昔よりは増えてきたんですけど、今後どんどんクリエイティブに強いコンサルというか、マーケターが必要になってくる。
今まではそういった、然るべき設定周りのところの知識だけでやってこれたんですけど、今後はどんどん最適化されていく中で、マーケターにとって、クリエイティブの知識とかノウハウが大切になってくると思うんですよね。
そういった人材はまだまだ少ないなっていうのは感じていて、そこは自分としても強みの部分だったりするので、わりとそこは自信持って話せるというか、どんなお客さんにも自信持ってコンサルさせていただいている部分だったりしますね。
インタビュアー:マスもそうなんですけど、意外とクリエイティブって分断されてるっていうか。すごく重要なんですけど、おざなりにされてるとまでは言わないですけど、そういうところがちょっとありますよね。
李氏:そうですね、1本だけクリエイティブ入れて、それが1年くらいずっと同じ状態とかっていう状況のお客さんも結構いたりします。
インタビュアー:すごくもったいないですね。いろんな会社のマーケティングが見られて、いろんな発見があったと思うんです。その中で、さっきちょっとお話に出ていたんですけど、副業とかされていて、結構収入はあったんですか。
李氏:そうですね、やっぱり上限がないので。上限がないっていったらちょっとあれですけど。
インタビュアー:青天井ってことですか。
李氏:そうですね、本当に自分次第っていうところがあるので、そういう意味で言うと、経済的にもやりがいはありますよね。
リモートワークについて
インタビュアー:またちょっと話が変わるんですけど、最初にお話したリモートワーク。ずっとリモートワークされてるってことなんですけど、マーケティングの仕事ってすごくリモートでやりやすいんじゃないかなと思ってるんですけど、いかがですか。
李氏:まさにパソコン1台あれば、場所はどこでもでできるかなと思いますね。
インタビュアー:一方で出社してほしいとか、出社しなきゃいけない会社とか、週何回は来てくださいっていう会社もあると思うんですけど、マーケターにとってそれってどうなんですか。
李氏:ある程度、仕事っていう意味でいうと、別になくてもパフォーマンスは担保できるかなと思います。
でも、やっぱり人と仕事してるのはやっぱり人なので、そこのつながりを深めるっていう目的であれば、対面で会えて話したりすることによって信頼は深まるんじゃないかなと。わりと言いやすいというか、コミュニケーションは円滑になっていくんじゃないかなという思いもあります。
あとはもう一個感じるのが、僕も今の会社で1ヵ月たってからリモートが始まって。1ヵ月はリモートじゃなかったのでよかったんですけど、入社したときからリモートっていう人の話を聞いてると、zoomとかミーティングするほどでもないけど、1人だと分からなくて立ち止まってしまうみたいな事柄って結構あるって話を聞いてまして。そういうのを、リモートじゃない時代は結構隣に座ってる人にさっと聞けたんですけど。
インタビュアー:ひそひそ話系なこととかもね。
李氏:そうですね。そういうのができなくなったっていうのが、ある種弊害なのかもしれないですけどね。
インタビュアー:つなぎっぱなしにしてる会社とかもあります。雑談しながら。
李氏:ありますね、はい。
インタビュアー:いろんなやり方でそういう部分はカバーできるんですかね。
李氏:やり方次第でそこもカバーできるかなと思いますね、個人的には。
インタビュアー:弊社でいうとフリーランスの方とすごくお仕事する機会が多いんですけど、皆さんコロナの前からですけど、とにかくリモートで仕事をしたがります。
李氏:自分を振り返って、移動があった時代を思い返すと、相当ロスが多かったなと思います。片道1時間弱みたいなお客さんもいたんですけど、やっぱり往復だけで2時間も取られてしまって、1日の営業時間が例えば8時間だとして、そのうちの4分の1、お客さんの移動の時間だけで取られてしまうみたいな。すごくもったいないなと思いますね。
インタビュアー:そこだけ考えても、ちょっともう元には戻れないというか、戻りたくないって感じがするんですけどね。
李氏:絶対戻りたくないですね。
インタビュアー:僕の周りにいる方は、皆さん、そうおっしゃいます。分かりました。ありがとうございます。
李氏にとってのマーケティングの魅力と可能性
インタビュアー:ちょっとまた話が変わるんですけど、李さんにとってマーケティングの魅力って一番どんなところですか。
李氏:やっぱり、自分で事業をおこせる可能性があるっていうとこですかね。僕も結構独立志向が強い方で、僕でいうと物販、自分で作ったものを自分のマーケティングスキルで売りたいっていうのが将来やりたいことなんですけども、物販に限らずなにかしら商売をする上で、集客するっていうのは外せない力です。
ビジネスのベースとなる部分なので、逆にいうと、究極、マーケティングスキルさえあればなにをやってもいけるっていう。仮に、マーケティングスキルが世界一だったりすると、なんでもできるんじゃないか、どんなビジネスでも成功できちゃうんじゃないかなって思いますね。
インタビュアー:マーケティングの可能性って質問をしようとしたんですけど、そういうところですかね。
李氏:そうですね。マーケティングって、集客のところももちろんそうなんですけれども、日常生活の見方とかもマーケティング思考寄りというとちょっとあれですけど。
例えば、以前沖縄旅行行った際に、前の方から自転車でふざけてこっちに声掛けてくる人に出会ったときに、普段出会わないタイプの人だったんですけど、こういう人が自分のつくってるクリエイティブとかでコンバージョンしたりするのかなと思うと。
インタビュアー:それ面白いですね。
李氏:そういう視点で物事を見たりとか、こういう人ってこういうのに反応しそうだよねとか。クリエイティブを考えるときにそういった日常のいろんな人との出会いがチャンスになったりとか、ヒントになったりとかするなって思ったり。結構面白いですよね、マーケティングで見ると。
インタビュアー:日常的なことも含めてマーケティング的な発想で解決できることって結構ありますよね。
李氏:結構ありますね。MECEで物事を考えるとか。月並みな話ですけど。
解決できるレバーと、解決できないどうしようもないことで区別して分けたりとか、これは別に話しててもしょうがないよねってことを話し合ってしまってるケースって、世の中多いと思うんですね。
それ話しててもわれわれの力じゃ解決できないのに、延々としゃべってるみたいなのって結構あると思うんです。もっとできることに目を向けて、このレバーはどうしようもないから解決できるレバーでいうとこれだから、これについて話し合おうよとか、そういう、本当細かい話ですけど。より建設的に前に向かっていけるような発想になっていってるんじゃないかなってなんとなく実感してます。
インタビュアー:周りのマーケター仲間とか同僚とか含め、そういう話とかよくしますか。
李氏:よくはしないですけど、たまに。マーケティングスキルとはっていう話じゃなくて、自然とそういう発想で話してたりはしますね。
気になっているトピック
インタビュアー:最近のマーケティングでも、いろんなトピックがあると思うんですけど、気になっていることってありますか。
李氏:気になってることでいうと、ちょっとやってみたいなと思ったのが、元々知り合いの人がやった事例で、街広告というか、ポスターとか駅広告ですね。
駅広告って効果計測もできないし、ウェブ広告と比べて1インプレッション単価ってどうなんだろうとかって思ってたんですけど、それを集客のチャネルとして使うんではなくて、あくまで1個のコンテンツとして扱うというものです。要はユーザーの、あるSNSの話で、SNSでユーザーから投稿された文章を駅広告に貼るみたいなことだったり。
ショールームさんとかもやってたんですけど、有名になったライバーさんを駅広告の演者として起用しますみたいなもので、ショールームの中のライバーさんを盛り上げたりだとか。
実際にポスターに自分の顔が映し出されると、ライバーさんは渋谷駅とかに自分のポスターを撮りにいくわけです。それをSNSで拡散してくれると。この拡散がメインで、あくまで駅広告っていうのはコンテンツで、コンテンツ費用として駅広告出したという話を聞いたときに、それはうまいなというか。それちょっと取り組みとしてやってみたいなと思いました。
インタビュアー:多分そういうのって、テレワークできない50才の人とかからはやっぱり出ない発想で。発想の根底からして違うっていう感じもしますよね。あんまり言うと怒られちゃうかな。そういう発想ってすごく面白いし大事ですよね。
李氏:そうですね。
インタビュアー:ありがとうございます。
今後について
インタビュアー:さっき、将来独立みたいな話もあったんですけど、ご自身、将来のご展望として、これからマーケターとしてどういうキャリアを歩んでいきたいみたいなことってありますか。
李氏:マーケティングスキルの中でもいろいろあるかなと思うんですけど、サイバーエージェントのころからずっと広告、いわゆるペイドの集客をずっとやってきました。その中で、自分で事業をやりたいって思ったときにノンペイド、いわゆるSEOだとかSNSだったりとかでの集客力っていうのを身に付けないと、やっぱりゼロイチのお金のないフェーズではなかなか立ち上がりにくいのかなと。
インタビュアー:おっしゃる通りだと思います。
李氏:そのスキルを身に付けていきたいなというのは思いますね。なので、その橋掛かりとして、今年自分のブログメディアを立ち上げてその準備をしています。上げるにはどうすればいいのかっていうのを研究してたりするんですけど。
その力を引っさげて、ゆくゆく、あとはマーケティングスキル×ものづくりのスキルがあれば、自分のやりたいことができるなと思っています。その、ものづくりのスキルっていうところは全くの素人なので、そこをどうすればいいのかなと。
自分で来年やってみようとは思うんですけど、誰かものづくりに特化してるプロフェッショナルの人と組んでやるとか、そこのケーパビリティーをなんとか身に付けていきたいなっていうのは来年に向けて考えてることですね。
インタビュアー:面白そうですね。それでは最後にお伺いさせていただきたいんですけど、李さんにとってマーケティングとは、一言で言うとどんなものでしょうか。
マーケティングとは
李氏:マーケティングとは、一言で言うと集客力なんじゃないですかね。
マーケティングってすごくいろんな意味合いで使われていると思うので、やっぱり一言で集客力にもう要約されるんじゃないかなっていう気はしますね。広い意味での集客力ですね。LTVだとか、遠い目で見たとき、中長期的に見たり、短期的な目で見たとき含めて、集客なのかなと思いますね。
インタビュアー:李さん、ありがとうございました。それでは今日の話のポイントなんですけども、今日の話のポイントは、マーケティングスキルさえあれば食いっぱぐれることはないというところかなと思いました。マーケティングの仕事はたくさんあるので、ニーズもあるというところだと思うんですけど、本当に仕事に困ることがないっていう。それだけ世の中から今求められている旬なスキルなのかなっていうのはお話聞いてて感じました。なので大学生の方、ぜひマーケターを志していただいて、最初にそのスキルを身に付けられるといいのかなと思いました。
李さん、今日はありがとうございました。
李氏:どうもありがとうございました。
インタビュアー:マーケターズプロファイル、いかがだったでしょうか。ブレーンスタイルでは今後も活躍するマーケターの方々にスポットを当てたコンテンツを配信していきますのでご期待ください。それでは、今回はこれで失礼いたします。またお会いしましょう。
自分の持つマーケティングの固定概念に囚われない
今回は、企業で働く中で李氏が感じたマーケティングの問題点についてお話を伺いました。
マーケティングは商品が売れる仕組みを作り、集客につなげていくものです。
顧客のニーズや世情に対応していく必要があるため、長時間働けば結果が出る、グーグルに自動で任せておけば最適化されるという単純なものではありません。
しかし、マーケターの数も足りていなければ、今いるマーケターの知識も足りていないことが多いのが現状です。
経験も知識もあるマーケターとなることで、企業の中でも自身の事業でも、マーケティングを大きく成長させられる存在となることができるでしょう。