業務委託人材の活用が成功への鍵。マーケティングオートメーションの導入方法&進め方を公開

今回のテーマはずばり、「マーケティングオートメーション」。概要を整理しつつ、実践している企業の事例と、導入方法・進め方についてご紹介していきます。

マーケティングオートメーションとは?

マーケティングオートメーション(MA)とはもともとリード(見込み顧客)の獲得や育成、顧客データの管理といった業務を自動化する取り組みを指す言葉近年ではそれを実現するためのビジネスツール全般の呼称として使われています。

代表的な製品としては、Salesforce.comが提供している「Pardot」、国産MAとしてトップクラスのシェアを誇る「BowNow」、Adobe社の「Marketo」など。

それぞれ顧客データの取り込み・管理、セグメントメール配信、webフォームの作成といった機能が搭載されており、インターネットの普及による購買プロセスの変化を背景に、日本でも2014年頃から導入を進める企業が増えてきました。製品によっては顧客のwebサイト閲覧履歴をトラッキングしたり、リード情報を分析・スコアリングしたうえでアプローチの優先度を示したりすることも可能です。

詳しくは後述しますが、実際にマーケティングオートメーションを取り入れたことによって成約率や受注数を伸ばした事例も多数。営業力の強化を図りたい企業バックオフィス業務を効率化しつつ継続的に売上を積み上げていきたい企業には欠かせないツールの1つと言えるでしょう。

ただし、そうした一方、マーケティングオートメーションにはそれなりの準備・リソースが必要なのも事実。

MAによる「自動化」とは、あくまで自社にマッチする製品を選び、運用体制を確立してPDCAサイクルを回した結果としての自動化であって、ツールを導入するだけでオートマティックに売上が増すわけではありません。マーケティングオートメーションを取り入れるにあたってこの点は非常に大切なポイントだと思います。

マーケティングオートメーションによる成功事例

続いては事例について。実際にマーケティングオートメーションを導入した企業はどんな成果をあげているのでしょうか?

1.株式会社ビープラウド(オンライン学習サービス)

業務用ソフトウェアの開発とあわせてエンジニアの教育事業を手がける株式会社ビープラウド(東京都渋谷区)では、オンライン学習サービスの利用者拡大に向けて2018年にマーケティングオートメーションを導入しました。

導入後はマーケティングコンサルタントのアドバイスを受けながら、メールアドレスの取得からロイヤルカスタマーとして囲い込むまでのロードマップを作成。そのうえで無料体験プログラムなどを紹介するステップメールを配信したところ、常時300件のリードを確保できるようになり新規の有料会員数を120%以上伸ばしています

2.株式会社ワム(美容・健康関連機器の開発・販売)

エステサロン向けの美容・健康関連機器を取り扱っている株式会社ワム(東京都渋谷区)。以前から展示会などのイベントを通じてリードを確保してはいたものの、その後の具体的なアプローチ方法を見出せず、売上が伸び悩んでいました。

そこで打開策としてマーケティングオートメーションを導入し、webサイトの閲覧履歴をもとにメルマガ配信と架電を重ねたところ、見込み顧客からの反応が格段にアップ。結果として営業スタッフのモチベーションも高まり問い合わせ経由での成約率が20ポイント以上向上しました

3.株式会社マックスプロデュース(イベント企画・制作)

株主総会、納会といったイベントの企画・制作事業を展開している株式会社マックスプロデュース(東京都渋谷区)では、業種柄新規顧客の獲得が難しく、「待ち」の営業スタイルが当たり前の状況に‥。解決策として営業代行会社にテレアポを委託したものの成果は乏しく、頭を悩ませていました。

そこでマーケティングオートメーションを導入し、展示会で得た名刺データなどをもとにサイト閲覧履歴のトラッキングをスタート。

見込み顧客がいつ、どんな情報を求めて自社サイトを訪れるのか整理したうえで、イベントの運営ノウハウなどをまとめたホワイトペーパーを配布した結果、webサイト経由での問い合わせ数が約4.3倍受注数が約3倍アップしました

マーケティングオートメーションの導入方法&進め方

ここからはマーケティングオートメーションの導入方法と進め方について具体的にご紹介していきます。

1.ツールを導入する

国産、海外製問わず現在多くのマーケティングオートメーションが市販されており、機能・価格もさまざまですが、それらの多くはBtoB向・BtoC向けの2つに分けられます。

前者の特徴は、意思決定までの検討プロセスが長い企業間取引を見据え、データ保存、分析といった機能が充実している点。

たとえばBtoB向けのマーケティングオートメーションとして業界トップクラスのシェアを誇る「Pardot」は、行動履歴をトラッキングするためのCookieを最長10年間保存できるほか、顧客のグレーディング(格付け)、施策のROI(投資収益率)算出といった機能が搭載されています。

一方の後者は、より幅広い購買スタイルに対応するためにFacebookやInstagramへのプッシュ通知機能、広告配信機能などが付いており、BtoB向けと比べると全般的に価格が安いのが特徴です。導入にあたっては具体的な目標と予算を定めたうえで、自社のビジネスモデルに合う製品を選びましょう。

2.運用体制を整える

前述の事例を見てもわかる通り、マーケティングオートメーションで成果をあげるためには、web閲覧履歴の分析やメルマガの配信、ホワイトペーパーの配布といったオペレーションの積み重ねが不可欠。ツールの導入とあわせて最低でも1名の運用担当者、可能なら複数名による運用チームをアサイン・編成しておきましょう。

その際に有効なオプションとなるのが、業務委託人材の活用です。フリーランスとして活躍しているマーケターのなかには、webサイトの効果測定や解析、メルマガのライティングに強みを持つ人材が少なくありません。そうした人材と契約を結ぶことで従業員の育成コストをかけず、限られたリソースを戦略立案や指標の分析に充てられるようになります。

また、法人向けの営業・コンサルティングに精通した人材をアサインすれば、ホワイトペーパーの内容、リリースのタイミングなどについても有益なアドバイスを得られるでしょう。実際のところ、外部パートナーの力を借りながらマーケティングオートメーションで商談数や受注率を伸ばしている企業は非常に多いようです。

3.PDCAサイクルを回す

ツールを導入し、運用体制を構築したら、あとは実践あるのみ。展示会やwebサイトに訪れた人は何を求めているのか、フォーム経由での問い合わせにはどんな潜在ニーズがあるのか仮説を立て、メルマガやステップメール、広告配信などを通じて検証を重ねていきましょう。

スマートフォンやソーシャルメディアの普及によって購買スタイルが多様化したいま、商材やターゲットの属性によっては一筋縄にはいかないこともあるかもしれませんが、委託できる業務は外部に委託したうえで、分析、スコアリングといったツールの機能を活用し、PDCAサイクルを実践していくことが成果への近道

その結果としての自動化=勝ちパターンを確立できれば、リードタイムは大幅に短縮し、成約率・受注率のアップにつながるはずです。

今回ご紹介した内容をぜひお役立てください。