商品を売りたい相手が個人・一般消費者であるBtoCの企業。
以前は、テレビのCMや看板などのマス向けの広告が主な宣伝方法でした。
しかし、技術の発展に伴い、インターネットが普及した上、ビックデータで顧客の情報を管理、分析できるようになってきました。
そのため従来の広告より、webを利用することによってより効果的に宣伝することが可能となってきています。
今回の記事では、インターネット時代のBtoC企業の販売戦略について、BtoCではどのような消費者の特徴があってどのようなことに注意しないといけないのか、そして具体的な販売戦略についてみていきましょう。
BtoCの特徴
BtoCのマーケティング手法を考える上では、個人の購入者にはどのような特徴があるのかが重要になってきます。
BtoCの対義語であるBtoB、つまり企業や事業者が購入する場合と比較しながら、一般消費者の特徴について3点みていきましょう。
特徴① 判断基準が幅広い
企業の目的は、利益を最大化しながら事業を成長させていくことにあります。
ですので、「売り上げを上げる」「経費を削減する」「優秀な人材を採用する」など、企業が達成したいことは合理的である程度共通しています。
そのため、費用対効果が高いことが大切であり、コストに対して効果が高いことを訴えかければ良いのです。
一方で個人が購入を検討する場合、必ずしも明確な目的があるわけではありませんし、個々によって判断基準が異なります。
安ければ安いほど良いという人がいる一方で、見た目や性能があまり変わらなくても、ブランド品を好んで買う人もいいます。
これは購入の動機が、企業のように課題を解決することだけではなくて、所有欲や満足感を満たすことなど、合理性よりも感情を重視することが多いからです。
そのため、デザインやブランディングなど、製品の機能的な性能以外の部分にも力を入れる必要があります。
特徴② 購入までのスピード
企業の場合は、購入の決定をするのに多くの人の合意を得る必要があります。
複数の役職の人が購入の意思決定に関わり、様々な視点から商品が企業の課題を解決してくれるのかを検討するからです。
そのため複数の会議で合意を取る必要があり、必然的に購入にも時間がかかってきます。
そして時間をかけて様々な会議を通す中で複数の競合と比較されますし、初めて商品を知った時に衝動的に欲しいと思っても、検討で時間をかけているうちに気持ちが落ち着き、購入を見送ることも大いにあります。
一方の個人の場合は、よっぽど高単価の商材ではない場合は購入の意思決定を見送る人数は少なく、商品を知ったその場で衝動的に購入してしまうということもあります。
感情が高ぶった時にそのままの勢いで買ってもらえるということは、そのタイミングを逃すわけにはいきません。
ですので、購買者が買いたいと思った時にすぐに買えるような仕組みを作っておく必要があります。
特徴③ 単価は小さく購入者が多い
企業の場合は、数十万〜数百万円の商材であったとしても、将来の投資のために買うことがあります。
それに比較すると、一般購買者の購入単価が低いことは明らかでしょう。
単価が低い中で利益を上げるためには、より多くのお客さんに購入してもらう必要があります。
日本の企業数が総じて400万なのに対し、人口は1億人以上いるということから見ても、ターゲットが多く、顧客になる数も多いのです。
顧客が多いということは、一人一人の顧客に、営業マンが直接話して営業をし、クロージングをしていてはコストがかさんでしまいます。
ですので、広告やSNSで一度に多くのお客さんを集められるオンラインの販促手法が向いています。
また、BtoBの企業は顧客数が少ない分、一社一社の顧客に対して丁寧に親身に接することができるのに対し、顧客数が多いBtoCにおいては、一人一人の顧客に個別の対応をすることは難しく、関係値はどうしても薄くなってしまいます。
ですのでリピートする割合もBtoBと比べて少ないという特徴があります。
そのため、リピート率を高めてLTV(生涯顧客単価)を高めるBtoBとは異なり、新規顧客を効率的に集めていくことを考えなけれいけません。
BtoCマーケティングの手法
以上のような特徴のある顧客を相手にするBtoCのマーケティングでは、どのような手法を使うことで効率よく商品の情報を一般消費者のもとに届けることができるでしょうか。
ここからは3つの方法を検討していきましょう。
方法① アーンドメディア
アーンド(earned=獲得する)メディアとは、見込み顧客との信頼を獲得するメディアのことです。
ユーザー自身が、商品やサービスを体験した意見や情報を発信することができるものであり、具体的には、各種SNSや、食べログなどの口コミサイトのことです。
自分自身で宣伝するだけではなく、実際に購入した消費者目線での意見が拡散されるため、情報の信憑性が高いとされて信頼を勝ち取りやすいものです。
SNSは拡散力が高いので爆発的に情報を拡散することができます。
また、顧客との関係値を深めたり維持することにも向いています。
コメントでのやりとりやDMを通して、親近感を持ってもらったり、一度お客さんになってくれたのちにリピートを促す、なんていうこともできます。
日常生活でSNSを触っている時間を考慮すると、切っても切り離せない方法なのは間違いないでしょう。
方法② オウンドメディア
オウンド(owned=所有する)メディアとは、その名の通り、会社が自社で持っているメディアのことです。
会社のいわゆるホームページのことであるコーポレートサイトや、会社運営のブログ記事を投稿しているメディア、ECサイト、メルマガなどがあげられます。
個人でも、商品を検討して、購入一歩手前で商品の性能をより詳しく知りたい場合や他社製品と比較したい場合にはホームページを見ることが多いです。
先程のSNSで興味づけをしたり、思い出してもらえる存在になって、最終的にはホームページに訪れて吟味をしてもらい購入される、といった流れが組まれます。
顧客目線で、知りたい情報にすぐにたどり着ける構成になっているか、購入したいと思った時に購入できる箇所がわかりやすいかということがチェックポイントです。
会社が運営するブログ記事も、見込み顧客に有益な情報を発信していくことで、検索順位が上昇し、付随してコーポレートサイトも上位表示されるようになります。
これがSEO対策と呼ばれるものです。
できる限り広くとったターゲットにどんな価値を提供できるのか、その上で自社商品を購入したくなる内容に寄せていくことを検討するのが重要となってきます。
方法③ 広告
上記二つは、自ら発信している情報を、お客さんが見つけてくれるのを待つという手法でした。
一方で広告は、こちらから狙ったターゲットにアプローチをかけることができます。
リスティング広告(検索広告)、ディスプレイ広告、SNS広告、アフィリエイト、インフルエンサーマーケティングなどがあげられます。
検索した際にホームページを上位表示させるリスティング広告は、お客さんが「欲しい」と自発的に思いがちで、なおかつ緊急性が高い商品には最適です。
一方でSNS広告や、Googleなどで画像が検索上位に出てくるディスプレイ広告は、欲しいということを自覚していない潜在顧客に欲しいと思わせることもできます。
一度サイトに訪れたが購入しなかった顧客に対して、追いかけるかのように繰り返し広告を表示して購入してもらうリターゲティング広告というものもあります。
ただし、プライバシーの観点から、リターゲティング広告が2022年には廃止されるという話があるので、これはあまり頼りにはできません。
BtoCマーケティングを成功させる考え方
これまでみてきたような手法で実際にお客さんを集めるにあたって、どのようなことに注意していけば良いのでしょうか。BtoCマーケティングでの注意点を2点見ていきましょう。
注意点① MAツールにより膨大な顧客データを管理
先述したように、BtoCマーケティングでは顧客の数が多くなるため、どうしても一人一人の顧客に当てられる時間が短くなってしまいます。
消費者は、購入を検討し始めてから購入に至るまで、購買意欲が徐々に高まっていきます。そして、購買意欲が高まりきったタイミングで商品の購入を後押しすることが必要となってきます。
それを一人一人の顧客に対して行うのは労力がかかってしまうので、そこで活躍するのがMA(マーケティングオートメーション)ツールです。
見込み顧客を検討段階ごとにグループ分けして、それぞれの検討段階に一番欲しい情報を提供し、購入へと向かってもらいます。
獲得した見込み顧客が、購入してくれる顧客へとレベルアップする後押しをすることから、リードナーチャリングと呼ばれています。
公式LINEやメルマガに誘致して、徐々に購入へと意識が近づくように設計した文章を送信するステップメールという手法は、最も効率的なリードナーチャリングです。
このような手法を駆使して、せっかく手に入れた顧客データを無駄にしてしまわないようにしましょう。
注意点② 数多く仮説を立て、検証する
一般消費者が購入する際の動機は様々です。
そのため、広告を打つにしろ、パッケージを作るにしろ、どのような訴えかけをすればたくさんのお客さんに買いたいと思ってもらえるかは、正解がありません。
商品を購入する時にも、「機能性の良いものが欲しい」と実利を求める人、「感情が動いた商品が欲しい」と気持ちを大切にする人、「割引率が高い商品、安い商品が欲しい」とお買い得さを求める人と様々にいるはずです。
それぞれの人に購入したいと思ってもらえるように訴えかけられる文言は、動機によって異なってくるはずですが、自分の商品のどこを推すと反応率が高いかは、実行してみて得られる結果でしかわかりません。
ですので、例えばキャッチコピーや宣伝の画像を3種類用意して、全ての広告を回してみた反応を比べてみたりと、実験することが成功への鍵となります。
デジタルマーケティングでtoC販促を攻略しよう
BtoCのデジタルマーケティングの全体像を見てきました。
一般消費者の行動は変化が激しい上決まった行動をしないため、マーケティングの手法も、消費者の動向を伺いながら刷新する必要があります。
また、ターゲットの数が多いため、どんな行動をしている人、どんな思考性を持っている人をターゲットに定めて販促していくかによって、アプローチ方法も、訴求文も大きく変わってきます。
ですので、BtoCマーケティングには決まった正解はなく、仮説検証を繰り返しながら膨大な数の顧客と向き合う必要があります。
そんな複雑な作業は、マーケティングの業務委託人材に任せるというのも選択肢の一つです。
多様な商材で、多様な顧客をターゲットとしたマーケティングの経験で、あなたの会社の商材の販売も活性化させてくれます。