細分化されたマーケティング専門領域において、フリーランスマーケターはなにを目指すべきか

マーケティングの需要は、近年増え続けています。

それに伴い、フリーランスマーケターとして複数の企業のマーケティングに関わったり、副業として自社以外のマーケティングで成果を出していくマーケターも増えています。

しかし、マーケティングの分野は細分化されており、全てを網羅することはできません。

それぞれのマーケターが専門分野とその周辺の領域を深め、企業の需要と自身の専門分野から最適な手法でマーケティングを行います。

しかし、少しでも多くの企業の要望に応えるため、幅広い分野のマーケティングを網羅したいと考えるマーケターも少なくありません。

今回は、副業として数々の企業のマーケティングに携わっている田口氏へのインタビューを通して、複数の領域でマーケティングを行うマーケターの現状をご紹介します。

田口氏の紹介

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田口さんは現在、外資系のコンサルティング会社で働く傍ら複数の副業をされています。

田口氏:田口と申します。現在33歳です。

会社員のキャリアで申し上げますと、大きく3社を経ております。

1社目が総合商社で、2社目がITベンチャーですね。3社目が現在も所属している、外資系のコンサルティングファームです。

インタビュアー:ありがとうございます。田口さんは、副業をたくさんされてるってお伺いしてるんですけど、何社ぐらい経験されてるんですか。

田口氏:累計でいくと、50社はもういってると思いますね。まだ3桁には到達してないと思うんですけど、1回、数えてみるのも面白そうですね。

インタビュアー:足掛け何年ぐらいやってるんですか。

田口氏:5年、6年ほどやっていますね。

インタビュアー:副業が話題になったのって、ここ3、4年かなって気がするんですけど、その前からですか。

田口氏:その前からです。確かに、最近ようやく副業っていうワードをニュースで目にする機会が増えましたよね。

リモートワークが普及する前から時代を先取りしていた

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インタビュアー:どうして副業をやってみようと思ったんですか。

田口氏:恐らく親の影響ですね。複数の場所で働くというのが当たり前というか、そのほうが良さそうっていう感覚がもともとあったのだと思います。

インタビュアー:そういう感覚があったとしても、一歩を踏み出せる人って多くないような気がするんですけど。周りで副業をされてる方がいたとか、そういうことではないんですか。

田口氏:そういうことではなかったですね。当時の先輩、後輩、同期を見てみても、独立する方はもちろんいらっしゃいましたけど、じゃあ副業でっていうのは聞いたことないかもしれないですね。

インタビュアー:最初はどういう副業を始めたんですか。

田口氏:始めのころは、ウェブ制作、ホームページの制作ですとか、あとはご縁もあって大学で非常勤講師が多かったですね。

インタビュアー:ウェブ制作って、元々やられてたんですか。

田口氏:いえ、全く。当時、独学で言語を身に付けて、案件を取ってきて、納品してという形で、本当にゼロからのスタートでした。

あと、元々文系なんです。大学も文系ですし、商社時代も、ザ・営業の仕事でしたので。全く関係ないスキルではありますね。

インタビュアー:なかなかすごいですね。本業のスキルを生かしての副業ではなく、全然違う畑で。

田口氏:本来は、生かせたほうが良いと思うのですけれど。

でも、全く関係ないわけではなくて、商社にいた時代もエクセルを使う機会が多くて、関数を作り込むのが好きでのめり込んで、いろいろ作っていたんです。

そこから派生してというか、コーディングするのも自分の好きなものになったというか。

インタビュアー:副業って、当時そんなにメジャーじゃなかったし、商社も忙しいと思うんですけど、よくちゃんと回せましたね。

田口氏:商社時代に担当していたのが北中南米で、例えば、ブラジルに行くとなると、片道で20時間以上かかってたんです。

その機内で本を読んで勉強したり、ホームページ制作をしたり、そんな時間の使い方をしていましたね。

インタビュアー:その頃って、今みたいにZoomでミーティングしましょうとか、Slackでやりとりとか、そんな感じじゃなかったと思うんです。

田口氏:そうですね。初めの何件かは、最初だけオフラインで行ったりしつつ、ある程度コミュニケーションが取れてきた段階で、メールベースやZoom利用にどんどん切り替えていきました。

コロナの前なので、まだまだZoomがはやる前だったんですけれど。

インタビュアー:どっちかっていうと、時代が追い付いてきたって感じですか。

田口氏:何か、おこがましいですけれど。でも、なんとなくそんな気もしますね。

オンラインスクールのUdemyさんも、その途中で話題にというか、サービスが普及し始めて、こういうのが最初からあったら良かったなっていうのは思いましたね。

コンサルを並行するには自分でコントロールする必要がある

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インタビュアー:今はコンサル系の会社にいらっしゃるということなんですけど、引き続き副業はされているんですよね。常時、何社くらいやられているんですか。

田口氏:一応、マックスで5社って決めています。

インタビュアー:本業の他に5社?

田口氏:本業の他に5社ですね。スポットで入るところはそう決めていて、常にやり続けているものが別に2社あるので、最高7社です。

インタビュアー:そんなにできるものなんですか。

田口氏:できますね。ただ、これが10になったら、多分、もう無理ですね。

インタビュアー:よく、オンラインだからできるんだよって言う人がいるんですけど、要は、オンラインだとサボれる、みたいな。でもおそらく、オンラインのコンサルってそんなに探せないと思うんですよね。

田口氏:ちゃんと忙しいですからね。

インタビュアー:それでそんな社数のタスクを回すのは、どういう管理をしているんですか。

田口氏:大体、Googleカレンダーでやってます。

コンサルも、私が所属してるところでは管理職になると、必ずしも9時17時じゃなくても良いんです。

しっかりとジョブディスクリプションに沿って職務を遂行していれば、時間は自由度が高くて。本日もそうですし、日中のミーティングも入れやすかったりしますね。結構、相性はいいかもしれないです。

フリーランスマーケターの働き方と真反対の考え方の企業もある

グラフと男性

インタビュアー:ブレーンスタイルでは、フリーランスマーケターのマッチングサービスをやってるんですけど、副業で登録されてる方もいらっしゃるんですよ。

クライアントである企業さん側とのお話で、そういう方もいるんですよって言うと、副業をやる時間があるなら本業を頑張ればいいのに、って言う企業の方がいらっしゃるんです。

僕の印象だと、なんか違うなって思うんですよ。そういう考え方を突き詰めていっちゃうと、サービス残業とか、長くやってるから頑張ってるみたいなものにつながるのかなって思うんですけど、そういう意見はどう思われますか。

田口氏:全く同じ感覚です。

大前提として、自分に与えられたミッションはしっかり遂行しつつ、遂行後であればなにをやってもいいんじゃないかって。

それに、同じレールの上を走るよりも、違うものに触れてみたほうが刺激や知識、経験になりますし。人生っていう長い目で見たら、圧倒的に効果的だよなっていう感覚です。

インタビュアー:雇用契約、労働基準法とかありますけど、基本的には9時17時で契約していて、残業はマックスでここまでしか駄目、みたいな。

そういうの関係なく、できるだけやればいいんじゃない、みたいな意見もあると思うんですけど。

多分、そういう考え方の人たちと、副業を多くやられてる方の考えって全然、違うと思うんですよね。どっちが良いとか悪いとかじゃなく、一長一短あると思うんですけど。

多くのタスクを回すのはRPGゲームと同じ

インタビュアー:すごい量のタスクを回されてるのは、なにがモチベーションになっているんですか。

田口氏:とにかく楽しいんです。新しいことに挑戦したり、新しい方と一緒に仕事をしたり。それでお金にもなりますし。

ちっちゃい頃RPGゲームが好きだったんですけど、あれと同じ感覚ですね。自分のレベルを上げて、次のダンジョンに行って、新しい仲間が増えて、強い敵を倒してみたいな。その感覚で楽しんでいますね。

企業からのネガティブな反応は解消できる

企業

インタビュアー:さっき、副業に対して、ある種ネガティブなことを言う企業の人もいらっしゃるって話をしたんですけど。

実際は副業の方とお仕事していると、本当に副業だって感じさせない、きちんと仕事してくれる方がたくさんいらっしゃるんです。

けど、信じてもらえないこともあるんですよね。副業でちゃんとやるんですかとか、もっと言っちゃうと、フリーランスの人もちゃんと働くんですか、みたいなことも言われるんです。そういう場合は実例を見てもらうのが一番だったりするんですけど。

もちろん、そういう人もいるんでしょうね。でも、田口さんのお話を聞いてると、やっぱりその人次第だし、きちんとやってくれる人のほうが多いと思ってるんです。
でも、企業さん側からすると、そういう感覚を払拭するのって大変だったりするんですよね。

実際副業をされていて、企業さん側のネガティブな反応って、ご経験されたことはあります?

田口氏:実は私はなくて。ただ、1つあるとすると、言わせてないだけかもしれないなって。

というのも、例えば中小企業さんのコンサルティングにごりごり入ってく案件が結構あるんですけど、最初の1カ月は、本来契約したい単価の半額でやってますね。

最初の1カ月だけは、お互いの勘所を分かるためにもスモールスタートでぜひやってみましょうかっていうのを、僕側から提案してます。

インタビュアー:お見合い期間じゃないですけど。

田口氏:そうです。私は大体1カ月で提案するんですけど、1週間、2週間ぐらいで「田口さん、あれは元々の単価に戻しましょう」って言ってくださる企業さんがほとんどです。

インタビュアー:いい話ですね。

田口氏:だから言わせてないのかもしれないなって思います。

副業をしないという選択

インタビュアー:今後、副業をしなくなることってありえますか。

田口氏:どうでしょうね。新しく自分がやりたい事業、このサービスで旗を立てたいなって思うものを見つけられたときに、もしかしたら、いったん手放して全部の時間をそこに使うっていうのはあるかもしれないですね。

インタビュアー:ちなみに今、中長期のビジョンはあるんですか。

田口氏:3つあるかなと思っていて、プレーヤーとしての自分の話と、事業家としての自分の話と、投資家としての自分の話。

プレーヤーとして、個人のスキルでは今後、デジタルマーケティングの力を今よりもっと付けたいなっていうのがあるのと。あとはデータ分析、データサイエンスの領域にも飛び込んでいきたいなっていうのがありますね。

インタビュアー:その2つのスキルっていうのは、なぜそこを身に付けたいって、魅力的なんですか。

田口氏:魅力的ですね。今、副業している内容と、親和性が極めて高いんですよ。もっともっといろんなことがクライアントさんに価値を提供できるかなと思うので、デジタルマーケット、データサイエンス領域は身に付けたいなと思っているところですね。

副業は好きで楽しいと思える領域ならどこまでも広げられる

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インタビュアー:ちょっと話がそれますけど、副業はどういう領域でされてますか。ウェブ制作とか、決まったところでやってるんですか。

田口氏:いくつか種類がありますが、例えばウェブデザインやウェブ制作の案件とか、エンジニアの仕事もやりますし、中小企業のコンサルティングですとか、あとは大学で講師をしていたりですとか。あと、自分でレンタルサイトを運営していたりもしています。

インタビュアー:幅広いですね。

田口氏:全部好きで楽しくやらせていただいているんですけれど。

インタビュアー:プラスアルファで、そういうデジタルマーケティングとかデータ系のスキルもさらに身に付けていきたいっていうことですか。

田口氏:そうですね。ウェブ制作の先、ウェブマーケのサポートもできると、もっといいかなと。

インタビュアー:副業じゃないと成立しないですね。それだけマルチタスクに対応できるスキルがあっても会社に所属してると、ここの部署に行ってくださいってなるんで。部署の異動はあっても、並行でってないですよね。

そんな、マルチスキルを持ってる方のほうが少ないと思うんですけど。

田口氏:もしかしたら、集中したほうがいいかもしれないですけどね。

インタビュアー:できるからすごいですね。二刀流なんてもんじゃないですよね。

田口氏:でも、やりたいことをやらせていただいているので、楽しくできていますね。

世の中のためにパラレルワーカーを増やしたい

インタビュアー:ごめんなさい、ちょっと話がそれちゃったんですけど、ビジョンのお話の続きを聞かせていただけると。

田口氏:中長期のビジョンとして、事業家と投資家の話ですね。

事業家でいくと、レンタルサイトや、学生のコーチング事業を運営など、いくつかスモールビジネスは始めてるんですけども、まだいくつかアイデアがあって。

もっともっとやってみたいですね。まず、副業の文脈でいくと、複数の仕事ができる人材を増やす、育てるという仕組みを作ってみたいなって思いますね。得に文系人材ですね。

パラレルワーカーを、もっと増やしていけるような仕組みを作れたら面白いなって思いますね。世の中のためにも、その人のためにもなりますし。

投資家としての話はまだ抽象的なんですけど、30代のうちに大きな投資を2つやりたいっていうのはありますね。

インタビュアー:ハイヤーみたいな?

田口氏:そういう投資じゃなくて、例えばちっちゃいベンチャー企業に資本5000万円入れるとか、VC的な立ち回りですね。株の運用とはまた別で。好きでやってるんですけど。

インタビュアー:ちょっと規模が大きいエンジェル投資みたいな。

田口氏:そうですね。

増えた収入を投資に活かしたい

インタビュアー:今、お金の話になりましたけど、副業をやってる分だけ収入が入ってくると思うんです。その辺は実際、どんな感じなんですかね。

田口氏:会社員の給料よりも、副業の仕事のほうがありますね。

インタビュアー:倍以上とか。普通のサラリーマンの倍以上の収入。

田口氏:自分で言うのもあれなんですけども、外資のコンサルって元々お給料いいんですよ。結果も出てるので、結構、悪くはないかなという。

インタビュアー:すごいですね。

田口氏:なのでそれを、自己投資も含めた投資に使っていきたいなっていうのはありますね。

インタビュアー:コロナがあって、副業をやりやすくなってると思うんですけど、どうですか。

田口氏:最近、周りでも増えてきましたね。相談があって、私の話をすると、それがきっかけで始めた人たちもいますし、僕が紹介してるのもありますし。

インタビュアー:そういう方を増やしたいっていうお話だったんですけど。もし、副業をしてなかったらって考えたことあります?

田口氏:ないですね。したほうが楽しいので。

この世の中においては、常に柔軟であるべき

波模様

インタビュアー:今後、自分の理想のビジネススキル像とかってありますか。

田口氏:僕には、一貫したテーマが1個あって。自分のキャリアとか人生観とか、完全に柔軟性なんですよ。柔軟性を自分の人生のテーマの1つにしていて。

VUCAって言うじゃないですか。V、U、C、Aで不確実性の高い現代において、みたいな文脈で使われますけど、これだけ変化している世の中で、そのときどきでしっかり自分で事業を運営していけるような、そんなスキル・キャリアを身に付けていきたいなっていうのは常に思ってますね。

インタビュアー:体も、硬いと駄目ですよね。けがするし。

田口氏:柔軟性が高いと、血の巡りもいいから健康っていうのはすごく意識していますね。

それに柔軟性を持つとなると、常に情報をアップデートしなきゃいけないじゃないですか。世の中の情報をキャッチする。結構、大変なことだけど楽しいですし、楽しみ続けられるように心身健康でいることが、まず第一ですね。

インタビュアー:僕も、健康に気を使ってますねとか、ストイックですよねとか言われることがあるんですけど、そうじゃなくて。

例えば、寝込んじゃうとか嫌じゃないですか。病気しちゃうと土日に遊べないとか、そんなモチベーションではありますけどね。健康が一番大事ですね。そうじゃないと、やりたいことが多分、できないっていうことですよね。

田口氏:そうですね。

やった方がいいことはやってみるべき

インタビュアー:他に、言っておきたいことってあります?若い人に言いたいことでもいいですし。

田口氏:今まさに若い人というか、まだまだ若いつもりでいるんですけれど。

インタビュアー:さらに若い。

田口氏:これやったほうがいいなって、思ってることってあるじゃないですか。

例えば、英語の勉強ってやったほうがいいとか、エンジニアリングの勉強ってやったことないけどやってみたほうがいいとか、そういうことってたくさんあると思うんです。

その中のどれか1つでもいいから、今日から始めてみる、スモールスタートでいい、1日5分でいいから、なにか新しいこと、別の景色が見えるようなことをやってみたらいいんじゃないかなって思いますね。

インタビュアー:そういうことが具現化できる時代ですもんね。

田口氏:働き方も、いろんなツールがありますし、そうですね。

副業でも本気で取り組むべき

インタビュアー:田口さん、ありがとうございました。

今日のポイントは2つだと思っています。まず1つ目は、副業は全部、本気ですと。

よく、副業の人は本業優先でとか、片手間にやってるんじゃないかみたいな印象を持ってる人も多いと思うんですけど。全部本気で、そこに差はないですとおっしゃってたのがとても印象的でした。

そして2つ目は、常に新しい仕事、業務領域に挑戦しているという点です。

副業で多くの副業に対応されてますけど、それが本業の延長じゃなく全然違う領域で、本当に多方面のスキルで活躍されてます。そのどれもプロ意識を持って勉強していきたいと。

さらに、新しい領域の業務にもチャレンジしていこうとしてる姿勢が、ビジネスパーソンの新しいスタイルというか、そういったところがすごく印象に残りました。

マーケターは、必要だと思える領域のマーケティング知識を取り入れるべき

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Webマーケティングの広まりに伴い、マーケターの業務は細分化され、それぞれ専門分野を持って業務にあたっています。

自身の専門分野について深めることはもちろん重要ですが、専門分野を活かせる仕事が常にあるとは限りません。

フリーランスマーケターは結果を出せる技量があってこそ活躍できます。

少しでも広い領域で結果を出せるマーケターになるために、興味が持てる・必要だと感じる分野の知識はどんどん取り入れていくのが良いでしょう。

領域を広げることで、専門の分野にもいい影響を与えることができます。

ブレーンスタイルが提供するマーケターマッチングでは、それぞれのマーケターの分野に応じて最適な企業とのマッチングを目指しています。

専門分野だけでなく、あなただからこそ活躍できる企業とのマッチングをサポートさせてください。