デザインを発注する際、デザイン会社に頼むよりも、特定のデザイナーを指名して頼むケースが多くあります。
デザイナーは他の職種にも増してフリーランスとして活動している方が多い業種です。
またデジタル化に伴い、デザインの媒体は紙からインターネットに大きく変わっています。
テレワークの広まりにも後押しされて、デザイナーの仕事の仕方が変わりつつある昨今、実際のデザイナーはどんな働き方をしているのでしょうか。
そしてこれからの時代、デザイナーにはどんなことが求められていくのでしょうか。
今回は、紙媒体の広告を中心に制作していた経験を生かし、現在はフリーランスとして活動するデザイナーの田中誠氏にお越しいただきました。
フリーのデザイナーとして、活動の実情や、デジタル化が進行する中での今後の活動について、詳しくお伺いしていきましょう。
美大を卒業後、新卒で広告制作会社に就職し、インターネット制作部に配属。
その後転職、グラフィックデザイナー、アートディレクターを務め、紙媒体の広告を中心に制作。
15年間勤めたのち、2019年に広告制作会社から独立して、個人事業主でVOYAGERを設立。
現在はブランディングやグラフィックデザインを中心に活動。クリエーティブブティックと共に地域のプロモーションやパッケージの制作も担当。
グラフィックを始めたきっかけ
インタビュアー:元々インターネットの制作の仕事をしていらしゃったとのことですが、そこから紙媒体のグラフィックの仕事をしたいと思われたのには、どういった経緯があったのでしょうか。
田中氏:大学では紙媒体のグラフィックデザインを中心にやっていました。卒業して就職のタイミングになったときにも、基本的にはそちらの方をたくさん受けていました。
配属先が僕の特性に合っていたのかどうかは分からないんですけど、たまたまインターネットの部署になっただけだと思っていました。
当時は2001年頃でして、まだ皆さん企業のサイトとかも探り探りだったので、結構需要もありました。
ですので、これから発展していく部署に若い人を配属しようかな、みたいな意向だったのかなと思います。
インタビュアー:そんな経緯でインターネットの業界に入った後、印象はどうでしたか?
田中氏:僕自身もまだ未知の分野でした。
デザインの所作や見た目の作りもそうですけど、当時はデザイナーがコーディングまでやるっていう時代だったので、そこも含めて全く未知の分野に足を踏み入れてしまったんだなっていう印象を受けました。
インタビュアー:今は結構、そういうデジタルのサイトとかのお仕事もされているんですか。
田中氏:そうですね。独立してから結構増えましたね、
フリーランスになったきっかけ
インタビュアー:フリーランスになられたきっかけは何があったのですか?
田中氏:もう6年ぐらい前のことなんですが、30代半ばで体調を崩しまして、それは割と転機になったのかなと思っています。
復帰して仕事を再開したんですけど、1日の時間の使い方や働き方とか、もっと言うと1年、5年先にどんな仕事をしているかとか、その時の仕事の内容みたいなものまで考えるようになりましたね。
インタビュアー:体調を崩したことで、自分自身を見つめたり考える時間ができたってことですか。
田中氏:そうですね。そこは今思い返しても転機になってるかなと思っています。
当時、1人の仕事自体は楽しいと思っていました。一方で、多分この楽しさはずっとは続かないな、みたいな思いもありました。
自分も年齢を重ねていくし、当然ですけど周りのお付き合いしてる方々も年を取られていくので、このままの状況がずっと続いていくわけではないと感じていました。
その後40代になって、数十年後もちゃんと仕事を楽しんでいきたいなっていう思いが出てきました。
仕事を楽しめる環境について考えるにあたって、会社にいるとどうしても人任せになってしまう部分もあったので、自分でそういう環境を作るっていうのを考えていかなきゃなって思いました。
ちょっとずつフリーランスに対しての興味が出てきて、環境づくりの勉強や調べごと、情報収集をしたりっていうのをし始めたという感じです。
インタビュアー:その中で、結構メジャーなお仕事もされたりしてたんですよね。
田中氏:そうですね。ちょうど病気する前後とか、復帰してからも、虎ノ門ヒルズがオープンするときは、サイン計画を1年半ぐらいですかね、長期間のスパンでやったりしていました。
更に、ずっと大手ハウスメーカーさんの仕事などを続けています。そういう大きなクライアントさんも知ってはいるし、地域のプロモーションのような、知らないことを知れるようなクライアントさんも増えてきたかなっていう感じです。
インタビュアー:結構勉強や準備をしてからフリーになったということですが、自信はあったのですか。あんまり不安はなかったのでしょうか。
田中氏:不安がないっていうのは正直言い過ぎだと思うんですけど。若干心配はありましたが、周囲の環境から考えると、今こそ挑戦すべきタイミングなんだろうなっていうとこで、飛び出していく勇気はありましたね。
デザイン業界においてフリーランスの割合とは
インタビュアー:これは主観になるのですが、デザイナー系の方ってフリーランスになる方が多くないですか。
田中氏:多いですね。
インタビュアー:何か理由があるんでしょうか。
田中氏:改めて考えてみると、フリーランスのデザイナーって本当に多いなと思っています。肌感覚というか自分の周囲だけでも7割ぐらいがフリーランスの方ですね。
自分が所属している、デザイン協会というものがあるのですが、そちらで見てみても会員数が3,000人ぐらいいる中で、6割近くはフリーランスとして登録している状況です。
プラス2割が事務所などの形で、自分が主催して働いているような感じです。ですので、合わせるとやはり7〜8割はフリーランスというか、個人ベースでやられてる方が多いのかなという印象です。
インタビュアー:フリーランスまでいかなくても、事務所にして数人でやっている方も結構多いということですよね。
田中氏:そうですね。企業と個人の中間の規模の方々が結構いたりしますね。
インタビュアー:いわゆる会社員みたいに、定年まで働くってことではない職種なんですか。
田中氏:そうですね。定年まで勤めている人は、僕自身知ってる中でもやはり数人しかいないですね。
インタビュアー:独立してうまくいかなかった、という話はあまり聞いたことがないんですが、デザイナー系の働き方や仕事はフリーランスに合っているということでしょうか。
田中氏:そうですね。一個一個の仕事が個人に対して来るっていう形が本来のデザイン業になるのかなと思っていて。
会社にデザインの仕事をお願いして、そこから分業していくような体制っていうのは、どこかで無理がきてしまうというのがありますし、お金も当然かかってきます。
であれば、昔ながらと言ったら変ですけど、顔の見える個人、もしくは個人事務所みたいなところにダイレクトにお願いした方が、結果としていいものができるのかなと思っています。
フリーランスになる前後の違い
インタビュアー:実際フリーランスになる前と後で、想像していたのと仕事の内容や働き方などは違っていましたか。
田中氏:大きくは変わってはいないかなと思います。勤めていた会社でもそうでしたが、お付き合いしていた企業さんも基本的には直でお仕事をさせてもらっていました。
もし違いがあるとしたら、こちらが発注する側の立場になった場合に、相手側にちょっと不安に思われているのかなみたいなところは感じますね。
インタビュアー:フリーランスで、会社じゃないから不安ってことですかね。そういうのは実際にあるのですか。
田中氏:基本、こちらから発注する時は、印刷会社さんを相手にしたりとか、イラストレーターさんやカメラマンさんの方が多いです。特に後者二つはフリーランスの方も多いので、フリーの人からさらにフリーの人に振るっていうのは、クライアントからすればちょっと心配なのかなっていうのは感じてますね。
インタビュアー:大きなトラブルなどは特にないのですか?
田中氏:2019年に独立してまだ2年なので、振り返ってみて大きなトラブルはそんなにないですね。
インタビュアー:サラリーマン時代と一番違ったところは、どういうところですか。
田中氏:やっぱり違うのは、一つの仕事に対する裁量権というか、自分がどこまで決定できるのかっていうのが一番違うのかなと思っています。
インタビュアー:ご自身で全部決定できるということですか。
田中氏:究極そうですね。全部決定できることもあります。
インタビュアー:その代わり責任も全部ご自身にかかってくるということですよね。
田中氏:そうですね。受けた仕事に対してスケジュールなども含めて全部自分で決めていくことプラス、守るべきことを守ることが必要ですね。
フリーランスの生活や収入の違い
インタビュアー:ぶっちゃけ、収入面はどうなんですか。
田中氏:ぶっちゃけて言うと、収入に関してはコロナもあって、2020年どうなるのかなって心配に思ってはいました。ですが最終的に2020年のトータルでいうと、会社員時代と比べて増えていますね。
インタビュアー:皆さん増えているようですね。生活スタイルはどうですか?
田中氏:生活スタイルはもう、変わったというか、本当に健康的な生活を送れてるかなと思っています。具体的に言うと、朝7時に起きています。
会社員時代は納期が厳しくて、夜遅くまで仕事をしていたので。
インタビュアー:フリーランスになって、朝型に変わったのですね。
田中氏:そうですね。朝型で、9時前にはちゃんと仕事始めて、6時か7時ぐらいには終えるようにはしてますね。
インタビュアー:固定観念かもしれませんが、デザイナーさんは夜型のイメージがありました。朝型のデザイナーの方もいらっしゃるんですね。
田中氏:フリーランスになる前に結構いろいろ情報収集している中で、独立した皆さんは生活がちゃんとしたっていう人が多かったんですよね。
インタビュアー:ちなみに、なぜ組織や会社に所属しているデザイナーの方は夜型だったりするんですかね。
田中氏:やっぱり打ち合わせが長かったり、自分の時間の調節ができないのが原因でしたかね。若手の頃はどうしても、24時超えて夜中までっていうのが常態化しちゃっていましたので。
インタビュアー:それが結構変わったんですね。
田中氏:変わりましたね。お昼ご飯もちゃんと食べるようになりました。
フリーランスデザイナーの仕事獲得の仕方
インタビュアー:仕事はどういうふうに取っているんですか。
田中氏:基本的には窓口が2つある状態です。1つは個人事業主の窓口で、もう1つがクリエーティブブティックの窓口っていうふうに2つ持っている状態です。
以前から付き合いのある会社からの仕事であったりとか、知り合いの方のお仕事とかは、前者の方の個人事業主で受けて、1人で完結できるような仕事を中心にそちらでやっています。
後者では、継続でやっているシティープロモーションの自治体の仕事とかがあります。そちらに合わせて、広告、CM、プラスグラフィック、ウェブの仕事などの、もう少し専門の方の力が必要だったりとか、株式会社っていう名前が必要な場合とかは、そちらの方で受けて、参加するか決めています。
インタビュアー:結構、ルートというか、窓口は戦略的に考えられていて、幾つかの選択肢を持っているような感じなんですね。
田中氏:そうですね。
インタビュアー:あと今、デジタルみたいなお話あったんですけど。
そもそも一番最初にデジタルっていうかインターネットのお仕事始められて、当時多分デジタル、インターネットの方を極めるんじゃなくて、やっぱりグラフィック含めて、そちらのデザインにいきたいっていうふうに思われたのかなと思います。デジタル領域との協業はどうですか、難しいですか。
田中氏 どうでしょう。一番最初の経験が生きているかどうかは別として、やっぱり今、ロゴだけ作ってくださいとか、ポスター1枚だけ作ってくださいっていう仕事は逆にあんまりありません。
たまにはあるんですけど、珍しくて。どちらかというとデジタルも併せて考えてください、作ってくださいっていうことが多いです。
そういう場合はちゃんとデジタルの分野の方と話しながら、すり合わせして、こんなことできるんですかみたいなところも含めて、割と楽しくというか新鮮にやらせていただいている感じですね。
インタビュアー:でも、アウトプットとしてタッチポイントみたいな考え方でいくと、デジタルは今だとスマホを見ている時間が一番長いですよね。当然そのとおりなんですけど。同世代のデザイナーとかって皆さんデジタルに対してどういう印象を抱いているのですか。デジタルを信用しているのですか。
田中氏:自身の経験でいくと、あまりないです。
インタビュアー:ないんですね。今、デジタルって広くいわれてるのに、なぜなんでしょう。
田中氏:専門でやってるデザイナーができたっていうのが強いのかなと思っています。
インタビュアー:デジタル専門のデザイナーが増えたということですか。
田中氏:そうですね。最初からデジタルで育ってきたデザイナーが増えてきたんです。私たちは基本的に紙から派生したものを作るっていうところで、お互い関係しながらもちょっとずつ専門の分野を棲み分けてきました。
デジタル領域のデザイナーに対して思うこと
インタビュアー:デジタル専門のデザイナーの人って、いい面と悪い面があると思うんですが、田中さんから見て、今後の移り変わりはどうなると思いますか。
田中氏:やっぱり非常に流行り・廃りが激しいと思います。デザインの消費というか、洋服の流行り・廃りに近いぐらいの変化の速さがデザインにも求められてるのかなと思います。
デジタル分野の方にはそちらをキャッチアップするためのアンテナを張ってもらったりとか、テクノロジーの勉強とか。そういう流れを楽しめる気持ちが大きい人が続けられるのかなって思います。
インタビュアー:デジタル専門のデザインの方でも、実はグラフィックの方もやってみたいとか、ロゴをやっていきたいんですみたいな方はいらっしゃいますか。
田中氏:逆にそういう方は、見ているものは一緒だと思うんですよね。もしかしたら、最初の分野を選ぶところでデジタルを選んだところで、覚えることが膨大にあるので、そちらの方が主になってしまっているだけだと思います。
ロゴが飾りみたいな感覚であったりとか、写真を撮るものじゃなくて素材みたいな捉え方になってしまったりとか。その辺の差はあるかもしれないですね。
インタビュアー:田中さんより下の世代の、今20代の人たちで、いわゆるグラフィックなどのデジタルじゃない領域の、デザインの専門の方々っていうのは、デジタル領域に対していかがですか。
田中氏:やっぱりSNSとかを使い慣れている人が増えているので、僕らの世代ほど、迷いはない気はします。
10歳ぐらい下の世代になると、バランスがグラフィック7:デジタル3だったのが、もしかしたら半分半分ぐらいで、仕事としてやっていかなきゃいけなくなっているかもしれないですね。
デザイン業の魅力とは
インタビュアー:デザイン業の魅力って、田中さんはどいうところを感じていますか。
田中氏:割と主観的なことになってしまうと思うのですが、自分にとって得意で、興味があり、極端な話趣味でもあるデザインが仕事っていう形にもなって、自分の全然知らない人生を歩んでるクライアントさん、全く知らない、例えば農業とかをやってるクライアントさんとつながることが、すごい魅力的かなと思っています。
それによって僕自身もその人の人生を擬似体験できるみたいなところが、非常に僕は魅力だなと感じています。
インタビュアー:デジタルの領域だと全部数字で表現できちゃうんで、今おっしゃったような魅力っていうのがいまいち証明できないというか、お伝えしづらかったりするかと思うんですけど、本当は生活においてデザインって大事ですもんね。
田中氏:そうですね。多分皆さん目にしていても気づいていないところでも、デザインは生きていると思うので。
インタビュアー:デザインのおかげで、生活や考え方が豊かになるっていうところはありますよね。
田中氏:そうですね。
フリーランスのデザイナーの今後のキャリアプランについて
インタビュアー:周りにもフリーランスの方が多いってことなんですけど。キャリアプランというか、将来の展望はどうお考えですか。
田中氏:今は、ブランドを育てるような時期だと思っています。今やっている仕事は、会社員時代の気持ちでいくと、小さいって言われちゃうような仕事だとは思います。
そういう仕事の場合って結構クライアントさんも若くて、同世代とかちょっと年下だったりするので、その人自身の成長と一緒に、自分も仕事していく中で一緒に成長していけたらいいなと思っています。
インタビュアー:ちなみに周りの、いわゆるフリーランスのデザイナー系の方って何歳まで働くとかいうプランはあるのですか。
田中氏:周囲の感じでいくと、割合的に会社員もフリーランスもいる状況ではあります。それでも考えるとやっぱり今後転職する人は転職するでしょうし、早い段階でフリーランスになっていく方はなっていくのかなと思いつつ。
デザイナー自身はやはり定年をあまり意識していないです。
独立してしまえば定年っていう考えも全くなくなるので。ずっと続けていけるんじゃないかなと思っています。
インタビュアー:ずっとですか。
田中氏:もちろん、いろいろ大変なこともあるとは思いますが。
インタビュアー:いいですね。そういう人たちが、先輩も含めてたくさんいらっしゃる世界っていうのがいいですよね。
田中氏:そうですね。結構上の世代の方もしっかりと活躍されてて、僕らみたいな40代の世代もいて、もっと若い世代もいるっていう、結構バランスよくいろんな世代がいます。
なので、こういう仕事やっていきたいなっていうときに先輩たちが培ってきたキャリアが見えるっていうのは、グラフィックデザイナー業界の強みかなと思っています。
デザイナーの道に進んだ理由
インタビュアー:今さらな質問にはなりますが、デザイン系に進みたいと思ったのは大学に入るときですか。
田中氏:美大に入る前に、決めなきゃいけないときが実はありまして。
インタビュアー:美大ってそうですよね。
田中氏:そうですね。美大の何とか科みたいな、いろいろ選ばないといけないんです。高3の手前ではもう選ばないといけなかったので、だいたいもうそのときにデザインをやりたいって決めましたね。
インタビュアー:高校は普通科の高校だったんですか。
田中氏:はい。
インタビュアー:でも、もともとデザインとかに興味があったのですね。
田中氏 そうですね。
インタビュアー:美大に入った瞬間にある程度道が限定されますもんね。
田中氏:そうですね 。油絵に行く人は油絵いきますし、彫刻したい人は彫刻いきますし。
インタビュアー:なるほど。でもよかったですね、その道を選んだのは。
田中氏:元々絵が好きで、みたいなところが出発点だったとは思います。
なにかを作るのが好きだから、みたいなことを何となく高2の冬ぐらいに考え出しました。
そこで、いろんな課題を予備校でやるうちに、こういうのが楽しいなとかっていうところでも選んでましたね。それが今につながっているっていうのが不思議です。
デザインとは
インタビュアー:いいですね、高校生のときの思い。そんな田中さんにとって、デザインって何ですか。
田中氏:改めて思ったんですけど、やっぱり根本の部分は絵が好きだったということと一緒だと思います。
インタビュアー:なるほど。
田中氏:どこでデザイン学ぶかっていうのはあると思うんですけど。やっぱり楽しいとか、これを作りたいとかっていうところが出発点としてあると思います。
その好きという気持ちから選ぶ中で、いろんな種類があると思います。その中でもデジタルを選んだっていうことは、やっぱりそちらの道のやり方を突き詰めていかなきゃいけないだろうなと、常に思っています。
インタビュアー:デジタルのデザイナーの方々でも、やっぱりベースのデザイン力って必要だと思うのですが、その点っていかがですか。
田中氏:必要だと思っています。例えばマーク1つを作るにしても、片方では分かりやすさっていうことがありつつも、もう一方ででデザインの面白さ、楽しさも大事です。
デザイン力のバランスが取れてない場合は、分かりやすさの方にどうしてもいってしまいます。極端な話をするとパクリじゃないですけど、同じようなものを作ってしまいます。
目の前にあるものをちょっと変えただけのようなものを作ってしまうっていうことに、つながりかねないかなとは思っています。
インタビュアー:なるほど。ウェブ系のデザインはこれがいい、みたいなものってあったりします? すごいと思っているものとか。
田中氏:PCだけのときって、実はそんなに心が躍るようなことはありませんでした。しかしスマホや、大きめのタブレットが出てきたりして、デザインの自由度が上がってから、グラフィックの方でもこういうことやりたいなっていうことが増えました。
色の使い方とか、普段ならやらないだろうことを、空間的に見せたりっていうのも、ウェブとかデジタルならではの見せ方なので、うらやましいぐらいの気持ちで見ています。
インタビュアー:どんどん媒体の垣根もなくなって、どういう媒体であろうがデザインというベースをもって活躍される方がこれから増えてくるんでしょうね。
田中氏:そうですね、そう思います。多分すごく楽しい分野だと思うんですよね。
分野というか、仕事としても、デザインを作るのが好きな人もいれば、見るのが好きっていう人もいるじゃないですか。なので、やっぱりそこを楽しむ気持ちなのかなと。大きな感じで言うとそういうことかなと思います。デザインイコール楽しいみたいな。
インタビュアー:楽しいと思えることが仕事になって最高ですね。しかも朝7時に起きられて。
田中氏:なかなか帰れないっていう、結構ハードな時代もありました。
インタビュアー:なるほど。そういう頃もあったんですね。
田中氏:そうですね。今はだいぶ改善されています。
インタビュアー:前の会社ですね。
田中氏:前の会社も自分自身も、強い思いのもと改善しました。
インタビュアー:なるほど。楽しいお話をお聞かせいただいて本当にありがとうございました。
まとめ…好きを仕事にするデザイナーにフリーランスという働き方はもってこい
今回は、サラリーマンとしての経験を多く積んだのちにフリーランスデザイナーとなられた田中様にお越しいただき、デザイナーの仕事の仕方、デザイン業の魅力についてお話しいただきました。
今回のお話のポイントとして、
・フリーランスになることで、より自分のしたい仕事に自由に取り組めるようになった
・デジタルでもグラフィックでも、デザインの根本は同じ
ということが挙げられます。
デザイン業をやられている方の中には、田中さんのように純粋に絵を描くことが好きという思いの元に、デザインを仕事に選ばれた方が多いと思います。
そんなデザイナーが、より自分のしたい仕事を突き詰め、自分の理想とする生活スタイルを実現するためには、フリーランスという働き方の選択がとても有効だということがわかりました。
デザイナーは、フリーランスとして活動している方が特にたくさんいる業界です。
ですので、フリーランスという働き方を選択しても、自分の求める仕事内容、働き方を実現している先輩を見て、学ぶことができるという安心感があります。
あなたもフリーランスになって、自分の好きを追求してみてはいかがでしょうか。