「キャリアの棚卸し」という言葉をご存知でしょうか。
キャリアの棚卸しは自分が今までどんな仕事をしてきたのかを洗い出し、企業とのマッチングに役立てる作業です。
キャリアアップを目指すすべての人に有効であり、特に転職したい方、フリーランスとして独立を考えている方には必須となります。
しかし、ただ単に今まで携わってきた仕事を洗い出すだけでは、キャリアアップに有効な作業とはなりません。特にマーケターは業務が細分化されているため、キャリアの棚卸しは簡単ではありません。
この記事では、キャリアの棚卸しの手順と効果について、フリーランスマーケターの視点からご紹介します。
記事を参考にキャリアの棚卸しを行い、効率よくキャリアアップをはかれるようになりましょう。
キャリアの棚卸しとは
キャリアの棚卸しとは、自分が社会人になってから現在までに携わってきた経験を洗い出し、言語化する作業を指します。
内容には業務内容や実績、得られたスキルなどが含まれます。
自分の強み、弱みや興味関心の強弱も合わせて分析することで、最終的に今後のキャリアの道筋をたてていく過程を指します。
具体的には、次の4つの工程に分かれています。
①:職務経歴の可視化
まずは、自分がどんな業務に携わってきたのか、経験を洗い出します。
最初に時系列を整理します。
・担当業務
・期間
その後、それぞれの期間内でどういうスキルを得たのかを明確にしていきます。
・月100万円の予算でリスティング広告運用を2年間
・オウンドメディアの設計・編集を2年間
など、職種や業務内容に即したスキルや業務内容、期間を定量的に記載していきましょう。
なにかを成し遂げているのであればそれを記載しますが、成し遂げていなくても問題ありません。キャリアの棚卸しにおいては、過去の結果よりも過程を重要視するべきなのです。
職種に即したスキルだけでなく、一社会人として身につけたスキルについても洗い出しておいてください。
これはどんな職種でもあるに越したことはないですが、すべての部署と関わっていくマーケターには必須のスキルなので、丁寧に洗い出しておきましょう。
・マネジメント力
・ファイナンス力
・傾聴力
・提案力
など、どの職種でも再現性があるものでイメージしてください。
これらのスキルを例えば「広告運用でどのように発揮した」ということが書けると、イメージをつけてもらいやすくなるでしょう。
社会人としてのスキルについては、客観的な意見を周りに聞いてみるのも有効な手段です。
②:スキルについての自己評価
自分の経歴・スキルを可視化できたら、それぞれについて自己評価を行いましょう。
・興味の度合い
・ニーズを感じるか
・今後も携わりたいかどうか
・好き嫌い
・得意不得意
などを切り口にしてみてください。
評価は主観的で構いません。今までの仕事を自分なりに振り返ることで、今後のキャリアにつなげることができます。
③:希望のキャリアの明確化
①と②で記載した結果をもとに、今後のキャリアの希望や目標を明確にしていきましょう。
特に②の自己評価は重要な参考となります。
今まで携わってきた業務に対してどんな思いがあったのか、どこが得意だったのかを振り返ると、これからのキャリアに向けて希望や目標が見えてきます。
仕事だけに目を向けるのではなく、プライベートとの兼ね合いを考えることも重要です。
特にフリーランスは、自分の働き方を自分でコントロールします。
マーケティングは働く場所、時間も問わないことがほとんどなので、よりプライベートとのバランスを取ることが重要です。
家族との関わりや、子育ての将来計画などもキャリアに大きな影響を及ぼすものなので、あらかじめ洗い出しておきましょう。
5年後、10年後、20年後といった単位ごとに将来を具体的に想像して、希望や目標のキャリアを設定することをおすすめします。
④:今後のキャリアの方向性の決定
ここまでの工程が終わったら、設定した希望・目標を参考に具体的なアクションにつながるように直近のキャリアの方向性を決めます。
現在のポジションと希望のキャリアに乖離があって具体的なアクションを決めづらいのであれば、再度③に立ち返って3年後、1年後などより直近の目標を設定してみましょう。
この際キャリアチェンジが必要だという判断になった場合は、キャリアの棚卸しをした結果をベースとしてキャリアチェンジに向けたアクションをとっていきます。
ここでは、今まで携わってきた業種だけでなく、持っているスキルを活かした新しい職種も視野に入れる必要があります。
「経験のないマーケティング分野なので明確には言えないが、適性があるかもしれない」
「経験上専門性がないので、いまいち目標が明確化しない」
「自己評価をしたものの、得意不得意がキャリアの希望に結びつかない」
「フリーランス希望だが未経験なので、必要なスキルがわからない」
など不安がある場合は、人材紹介会社などから客観的な意見をもらうことも有効です。
1人だけでは今まで経験したことからしか判断ができないため、分析やその後のアクションについて、プロのアドバイスをもらうことで新しい切り口を見つけることができるのです。
キャリアの棚卸しのタイミング
キャリアの棚卸しを行う一番のタイミングは、キャリアが変化するタイミングです。
転職やフリーランスとして独立する際には、前もって行っておくのが良いでしょう。
またキャリアの変化がなくても、定期的にキャリアの棚卸しの時間をとっておくことをおすすめします。
定期的に行うことで、同じ企業内での人事や上司との面談の際にも希望を明確に伝えることができたり、職務経歴書や履歴書を作成する際にもスムーズに作業できます。
フリーランスの場合には、自分が受ける仕事をコントロールするのは自分自身です。
定期的なキャリアの棚卸しによって、より効率的に自分に向いている仕事を請け負うことができます。
キャリアの棚卸しの効果
ここからは、キャリアの棚卸しをすることによって生まれる効果を2つ見ていきましょう。
効果①:キャリアの軸がぶれなくなる
過去に関わってきた業務を振り返り、言語化によって分析することで、携わった仕事への向き不向きを再確認することができます。
単純な得意不得意だけでなく、業務のどの部分が得意なのか、どういう作業は不得意なのかや、そもそもその仕事への興味はどうなのかも洗い出してみてください。
・不得意な作業を改めて勉強しつつ、得意な分野に特化した仕事をしていきたい
など分析することで、自分の目指すキャリア像を明確にすることができます。
マーケティングは業務が細分化されている上、採用する企業側に知識がないこともあります。
企業によっては採用時に求めるスキルと実際に必要なスキルが異なっている場合もあるのです。
企業の採用条件を鵜吞みにして、自分の経験してきた分野と合っていそうだからという理由だけで仕事を選ぶのはミスマッチが起こる可能性が上がるので危険です。
採用される側のスキルや希望を明確にしておくことによって、面接時にお互いより深く業務内容を確認することができるため、企業とのミスマッチを防ぐことができるのです。
キャリアの棚卸しの結果と照らし合わせながら、実際の業務や企業が抱えている問題点など、具体的な業務内容に切り込んだ形で企業とのやり取りを行いましょう。
また、仕事内容だけでなく、プライベートにも目を向けられるようになります。
業務とプライベートのバランスを改めて見直しておくことで、自分が目指す働き方を実現しましょう。
効果②:キャリアアップの効率が上がる
キャリアの棚卸しによって、自分の実績や強みとなるスキルなど、アピールポイントが明らかになります。
長所を確実に活かして業務に取り組むことで、効率よくキャリアアップを図れます。
キャリアが変化するタイミングでも、キャリアの棚卸しで得た気付きを、職務経歴書や面接時に発揮できます。
自分の長所や目標、経歴を活かすだけでなく、それらが企業が求めるスキルとどうマッチするのか、企業にどうやって貢献できるのかを明確に説明することで、自分が目指す仕事に就くことができるでしょう。
キャリアの棚卸しは、現状確認のためだけに使うものではありません。
目標のキャリアを明確にすることによって、目標達成のために今足りていないスキルも見えてくることでしょう。
足りないスキルを補うために変わっていくことも大切です。
・自分の得意分野でカバーしていく
・自分に合ったツールを利用する
・新たな人脈をつくる
など、スキルによって短所を克服するための切り口はさまざまです。
自分に足りないものを見極めて、目標のキャリアをクリアするために必要なスキルを身につけましょう。
フリーランスマーケターこそキャリアの棚卸しをするべき
キャリアの棚卸しでは、これまで行ってきたすべての業務を振り返るので、簡単な作業ではありません。
マーケティングがユーザーの消費行動に基づいているものである以上、必要なスキルは日々変化していきます。新たなツールもどんどん現れています。
もし1人で行うのが難しい場合は、多くのフリーランスや市場の変遷を見てきたエージェント会社などに相談するのがおすすめです。
あなたに最適のキャリアを築いていけるよう、お手伝いさせていただけるかと思います。
フリーランスマーケターとして、自分の希望するキャリアになるべく近い分野の業務に携わることで、確実に効果を出してキャリアアップしていってください。
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