BtoBの企業において顧客獲得は、テレアポや飛び込み営業をはじめとする営業活動がメインでした。
そのため、マーケティング活動は重視されない傾向にありました。
インターネットの普及に伴い、企業の決済者も当然のことながらインターネットを利用するようになってきたため、BtoBの企業でも、ネットを介して潜在顧客にアプローチする方法が増えてきました。
さらにDX化やコロナのために、従来の対面営業に代わり、デジタルマーケティングはより注目されるようになってきました。
ただ、BtoBの企業はもともとマーケティングに力を入れていない場合が多いため、マーケティングに取り組む体制が整っていない場合が多くあります。
デジタルマーケティングに注力すると、顧客獲得コストを抑えることができるため、非常にもったいないです。
今回は、現代のBtoB企業において、デジタルマーケティングの有効性、成功のためにはどう取り組むのが良いのかについて、BtoBマーケティングの特徴に沿って見ていきましょう。
BtoBマーケティングの特徴
商品の購入者が法人や団体であるBtoB領域では、マーケティングにおいてどのようなことに注意していないといけないのでしょうか。
それを把握するため、ここではBtoBマーケティングの特徴について3つ見ていきましょう。
特徴① 意思決定に携わる人数
BtoBでは購入するかどうかの検討において、BtoCより多くの人が関わります。
例えば、web上で顧客を管理するツールを販売するとなった場合、先方のマーケティング担当者にまず営業をします。
その後、持ち帰ったマーケティング担当者は、マーケティング周辺で決裁権のあるマーケティング部門の部長などの役職者に、収益性があることを説明し、説得しなければなりません。
また、実際にツールを使用することになる営業の担当者や、メルマガを配信するweb担当者も、ツールを触り、使い心地を検討しなければなりません。
この段階でもすでに社内の4人以上の関係者が意思決定に介入することとなります。
そのため、BtoBでは複数の関係者の了承を得ないといけないため、即決で購入を決めることもあるようなBtoCとは異なり、購入の意思決定をするのに時間がかかるのです。
特徴② 購入の仕方
BtoBでは、購入するまでに営業というプロセスが内在しています。
BtoCでは、あなたもECショップなどで商品をその場で購入することもあるかと思います。
店頭で店員さんに説明を受けて購入することもあるでしょうが、一切説明を受けずとも購入することも多々あるでしょう。
一方のBtoBでは、企業の営業の方と商談をした上で購入することが一般的です。営業の担当者から商品について、業界についての詳しい説明を聞き、決裁権限者の了承を得てから購入します。
ですので、BtoBマーケティングでは、営業の担当者が受注率を高めるためにはどうすれば良いかということが重要となってきます。
特徴③ 購入の目的
BtoBでは、商品を購入する目的は企業の課題を解決することにあります。
BtoCでは、その時その場でしかできないといった、体験や経験にお金を払ったり、嗜好品やお洒落なものなど、「買いたい」という欲を掻き立てれば購入してくれます。
一方で、BtoBでは、明確に企業の課題を解決することが目的です。企業の課題を明確にすること、その課題を解決する力があると訴えかけることが購入に近づくプロセスとなります。
デジタル化したBtoBマーケティングの手法
インターネットが普及する以前のBtoBマーケティングは、担当者との接触機会は、営業を除くと業界紙や展示会などといった限られた機会しかありませんでした。
しかしインターネットが普及し、当然担当者も我々と同じようにインターネットを利用しています。ですので、担当者に接触できる機会は遥かに多くなりました。
そんな中、マーケティングのデジタル化にキャッチアップできないでいると、顧客獲得の機会を失ってしまいます。
では、BtoBのデジタルマーケティングの施策としてどんなものがあるのか、見ていきましょう。
BtoBマーケティングの考え方
BtoBマーケティングでは、先述の通り購入に至るまでのハードルが高く、検討事項がいくつもあるために購入まで時間がかかってしまいます。
そのため、段階を踏んで購入に結びつけるような施策を考える必要があります。
ここでは、「見込み顧客を獲得する」「見込み顧客の育成をする」「商談化する」「顧客の調査や紹介での開拓」の4つの段階について見ていきましょう。
段階① 見込み顧客を獲得する
テレアポや展示会によってこの段階は今までも行われていましたが、デジタルマーケティングにより、営業の効率化が図られています。
主流の方法は、自社のwebサイトを使った施策となっています。
webサイトに訪れてもらって、より興味を持った見込み顧客には、ホワイトペーパーをダウンロードできる代わりに個人情報を入力してもらい、見込み顧客のリストとして保有します。
そもそもホワイトペーパーをダウンロードしてもらうための、ホームページやLPに訪れるお客様を増やすためには、広告を打つのが最も効率が良い方法です。
必要に迫られて購入を検討するお客様が多い商材ではリスティング広告、潜在的なニーズがある商材では、SEO対策やフェイスブック広告の相性が良いです。
また、オンライン化に伴い、ウェビナーを開催し、見込み顧客を獲得する企業も増えています。
段階② 見込み顧客を育成する
ここでは、見込み顧客に対し、定期的に自分の商材や最近の活動を伝えることで、徐々に商品が欲しいと思ってもらったり、購入したくなったタイミングで一番目に思い出してもらうことを目標とします。
従来ですと、見込み顧客に電話をしたり、訪問したりしていました。
しかし、近年は、CRMによってメールを配信することが効率を高めます。
CRM(Customer Relationship Management)は顧客関係管理のことで、自社の見込み・既存の顧客すべての情報を、一つのアプリ上で管理するツールになっています。
顧客の関心度や関係性の深さによって分類し、メールを一斉に配信することができ、見込み顧客の管理を効率化できます。
段階③ 商談化する
商談化する際には、見込み顧客の中でも特に確度が高い顧客にリソースを割く必要があります。
その際、MA(マーケティングオートメーション)を利用し、それぞれの見込み顧客がどれくらい購入に対して積極的になっているのかをスコア化することができます。
また実際に商談が進むと、SFA(セールス・フォース・オートメーション)というツールを利用することができます。
営業担当者が日々の活動を入力すると、顧客のステータスが保存され、次の行動が示されます。
営業活動の情報管理や業務の自動化や分析をし、ボトルネックの発見や効率化を図ることができます。
段階④ 顧客調査、紹介の開拓
実際に商品を購入して使っている顧客が、商品のどこに価値を感じているのか、どこに不満点があるのかを調査することは、商品開発や、webでの商品の売りの作成において大いに役立ちます。
保有している顧客リストに対し、オンラインでフォーム解答式のアンケートを送ることでも有益な情報が得られます。
また、BtoBでは、口コミサイトや比較サイトなどがない中で判断しないといけず、検討材料がとても少ないのが現状です。
そんな中、知り合いが実際に使用していてお勧めしてくれた商品に対する信頼度が高いことは明らかでしょう。
ですので、使用後の満足度が高い顧客には積極的にオンラインオフライン問わず接点を持って、紹介してもらえるような体制を整えることが肝心です。
BtoBデジタルマーケティング成功への行動の仕方
具体的な施策について見てきましたが、BtoB領域のデジタルマーケティングを成功させるためにはどのような行動をするべきでしょうか。
ここでは3つ見ていきます。
行動① 代表的な顧客を分析し、顧客の解像度を高める
すでに購入してくれた顧客はとても大切な情報源です。
それは、なぜ購入を決めたのか、購入に至るまでどのようなステップを踏んできたかという貴重なデータを得ることができるからです。
この分析をしっかりと行うことで、数々あるマーケティング施策の不要な部分が判明したり、訴求するべき商品の強みを把握することができ、より効率が上がります。
そして、マーケティング施策を考える上では、顧客の解像度を高めることが何よりも重要です。
顧客となり得る人がどんなことに関心があって、どうやって情報収集をしていて、どんなことに悩みや決定因子があるのか、などがはっきりとわかるほど、マーケティング施策は的を得たものとなります。
そのためには、お客様と接する機会が一番多い営業のメンバーなどがマーケティングを考える上で携わるべきです。
行動② 短期施策と中長期施策の両方に取り組む
短期的に結果が現れる施策は、実行してから結果が出るまでのスピードが速いので、すぐに改善し、また実験して結果を分析する、と繰り返すことができます。
マーケティング施策は、顧客が反応するかどうかによって決まるので、構想段階で100%成功するわけではありません。
しかし、実験を早いペースで繰り返す中で、より成功に近づけていくことが可能です。
一方で、長期的な施策は、成果に結びつくまでは時間がかかりますが、認知を広められたり、資産となるようなコンテンツを蓄積したりできます。
長期的にはコストが低く、副次的に認知が広がるという良い効果も得られるのです。
両者は一長一短であり、片方だけだと失速したり、コストがかかりすぎたりするリスクがあるので、両者を同時に含めるような施策が必要です。
行動③ LTVを高める
マーケティングにかけても良いコストを考える上では、獲得した一人の顧客が、生涯にわたって、いくら会社の売り上げに貢献してくれるかどうかをまず考える必要があります。
それがLTV(Life Time Value)です。
例えばサブスク型の商品を購入してくれる顧客の獲得のために、サブスクの月額の3倍ものお金を払ったとしても、始めこそ赤字ではありますが、1年以上継続して購入してくれる見込みがあるのであれば、長期的な視点では売り上げが立つということです。
投資をしなければ顧客を得ることはできませんが、投資をしすぎて、顧客が取れても元が取れなければ意味がありません。
ですので、LTVが高くなるような商品設計をして、マーケティングに投資でき、さらに事業を成長させていくという上昇気流に乗ることが成功の秘訣です。
BtoBマーケティングを成功させるために
BtoBマーケティングの具体的な方法、その成功するための秘訣について見てきました。
マーケティングの施策を実行する上では、多くのことを考え、同時に進めていかなかければなりません。
しかし、BtoBの企業はマーケティングに取り組む体制がまだ整っていない企業が多く、一からその体制を育成するのは時間もコストも要します。
ですので、マーケティングに特化した業務委託人材に任せるというのも戦略として有効だと言えるでしょう。