『プロマーケター’s File』とは?
弊社でプロ人材としてご活躍いただいているマーケターの方々に、インターンとして働く大学生がインタビュアーとなり、学生ならではの視点でお話を伺っていきます!
第1回目は、大手インターネット広告会社でキャリアをスタートし、現在は複業でマーケティングの仕事を続けながら、自ら起業もしているT・Yさんにお越しいただきました!
新卒で“激務”を求めて広告業界へ。
その後、起業という選択を経て、現在はマーケティング領域で業務委託として複数案件に関わりながら、柔軟なスタイルで仕事を続けているT・Yさん。
「会社員でも、フリーランスでもない、第三のキャリア」
そんな働き方にたどりついた背景には、どんな価値観や挑戦があったのでしょうか。
interviewer
去年の夏からブレーンスタイルにインターンとして働く大学生。ブレーンスタイルnoteの編集も任されています!
Interviwee
T・Yさん
新卒で大手インターネット広告会社に入社し、法人営業・広告運用・メディア戦略・データ分析など幅広い業務に従事。2020年にはマーケティング支援企業を共同創業し、取締役として事業成長を牽引。その後、マーケティングDX領域の企業に参画し、Executive Officerとしてマーケティング戦略とプロダクト開発をリード。現在は本業に加え、マーケターとしても複数のプロジェクトに携わっている。
独立と複業、そのバランスの中で
-ブレーンスタイルに登録したのは2020年ごろと伺っています。なにかきっかけなどありますか?
T・Y :
4年前のちょうど独立したタイミングですかね、検索を通じて知った記憶です。現在までに2つの案件でお仕事をしています。
-起業しつつ、業務委託契約で他の仕事をやろうと思った理由などなにかありますか?
T・Y :
新卒で入った会社にいたときと比べて、独立するとやっぱり組織が小さくなるので、どうしても内輪での評価が中心になりがちなんですよね。
でも外のプロジェクトに関わると、クライアントや成果、業界全体からの評価が得られるので、自分の力をより客観的に見ることができますし、成長にもつながるなと。そういった理由で、業務委託という形でも仕事を続けています。
-独立から今に至るまで、ご自身の“仕事に対する価値観”で変化したことはありますか?
「仕事に対する価値観」というと少し抽象的ですが、自分自身のスキルやポジショニングについては以前よりも意識的に考えるようになりました。
具体的には、成果を出すために「どの役割が不足しているのか」「その補完のために自分ができることは何か」を常に捉えようとしています。
与えられたミッションを100%遂行するだけでなく、組織やチームにとっての”抜けているピース”を自発的に埋めることが、自分の存在意義であり、価値を高めることだと捉えるようになりました。
フリーランスマーケターに必要な強さ
-T・Yさんから見たフリーランスマーケターというお仕事は?
T・Y :
私はフリーランスではなく、複業としてマーケティングの仕事をしています。
本業と並行しながら、いくつかの案件を担当させていただいているのですが、フリーランスで働く方々を見ていると、「自由に働ける」一方で、強い孤独感を感じやすいのではないかと思います。
チームに所属していなければ、成果はすべて自己責任。
うまくいかないときに相談できる相手がいなかったり、誰かがフィードバックをくれるとも限りません。
一方で、会社で働く場合、評価の基準はあくまで「社内での評価」です。
上司からどう評価されるか、チームとして成果を出せているかが重視される。
もちろん、安定しているという良さはある一方で、思うように動けないもどかしさもありますよね。
だからこそ、フリーランスマーケターには「自分を第三者的に評価する力」が本当に重要だと感じています。
自分のアウトプットを客観的に見て、何が価値になっているのか、どこを改善すべきかを自分自身で判断する力。
これは、独立して働くうえで欠かせないスキルだと思います。
「どこでも働ける」は、同時に「どこでも働く必要がある」
T・Y :
そしてもうひとつ、強く感じるのは、「場所や時間に縛られずに働ける」って、一見すると魅力的ですが、実際は“縛られずに働かざるを得ない”ということでもある、という点です。
有給休暇なんてものは存在しません。
私は新婚旅行でバリに行ったときにも、しっかりパソコンを持って仕事をしていました(笑)。
どこにいても仕事ができるという自由の裏には、仕事がどこまでもついてくるという現実もあるんですよね。
今は、AIもどんどん進化しています。
正直なところ、マーケターの仕事の一部は、いずれAIに持っていかれるのは時間の問題だと感じています。
だからこそ今後は、「自分には何ができるのか」、「誰にどんな価値を届けられるのか」を明確にし、ポジショニングを取っていくことがますます重要になると思っています。
そしてそれは、知識やスキルだけではなく、精神的な強さがないとやっていけないと思うんです。
-企業がフリーランスを最大限活かすために必要なことは何だと思いますか?
最も重要なのは、”成果”の定義を明確にすることだと考えています。
フリーランスが企業に曖昧な形で参画すると、その成果基準もあいまいになってしまい、双方にとって不完全燃焼の関係になりがちです。
だからこそ、「自分がこのプロジェクトで何をもって価値を提供するのか」を明文化し、その進捗をクライアントと定期的に確認し合う体制が不可欠です。
これにより、信頼関係も成果もより強固なものになるんじゃないかなと。
キャリアのスタートはとにかく過酷な環境?!
-学生時代から起業しようというビジョンはありましたか?
T・Y :
起業しようと意思を固めていたわけではないですが、将来の自分が大企業でバリバリ活躍している姿は、あまり想像していませんでした。
“好きなことを仕事にしたい”という思いが強かったですね。
-新卒で会社を選ぶときに軸などはありましたか?
T・Y :
とにかく過酷な労働環境を求めていました(笑)
–なかなかない選び方ですね!
T・Y :
はい。昭和のビジネスマンみたいな考え方ですが、自分の体をどこに慣れさせるかが大事だと思ってます。
たとえば、10時間働く環境に慣れていれば、8時間労働は余裕に感じられる。
つまり、負荷の高い場所で自分を鍛えれば、あとからどんな環境でもやっていける、そんな考え方で、コンサルや広告代理店といった“激務”と言われる業界を中心に見ていました。
結果的にかなり負荷のかかる職場でスキルと体力を身に着けることができたので良かったと思います。
“好き”を起点に、必要とされるスキルへ
-今後のビジョンなど教えてください
T・Y :
今後のビジョンについて聞かれると、まだ明確に「こうなりたい」と言える形にはなっていないのですが、
自分の中でひとつ確かなのは、“表現すること”が好きだということです。
資料を作ること、企画を考えること、伝え方を工夫すること。
そういった作業に没頭できるのは、単に業務だからではなく、「自己表現のひとつ」として楽しめているからなんだと思います。
だからこそ今後は、広告やマーケティングの領域で、「伝える力」や「形にする力」をもっと磨いていきたい。
関わる案件ひとつひとつを通して、少しずつでも実力をつけていけたらと思っています。
“好き”を起点に、必要とされるスキルへ。
そんな風にキャリアを築いていけたらいいですね。
編集後記
「自由に働ける」という言葉の響きの裏には、実際には“自由だからこそ求められる自己管理力や客観的な視点”があるというお話が、とてもリアルに感じられました。多様なスキルやキャリアを持つ個人の中でも、一貫して“自分の価値を自ら見出し続ける姿勢”が大切なのだと、改めて考えさせられました。
お忙しい中、貴重なお話をお聞かせいただき、本当にありがとうございました!