インフルエンサーマーケティングとは?概要や今後のSNSマーケティングについて解説

インフルエンサーとは、「影響・感化」を意味する英単語「Influence」を語源とする言葉で、ある特定のコミュニティで他者に大きな影響を与える人のことです。インフルエンサーを自社ブランドや商品の認知に活用する「インフルエンサーマーケティング」を導入する企業が近年増えてきています。

しかしインフルエンサーをマーケティングに活用すると、どのようなメリットがあるのか、また注意するべきことはないのか、気になっている方も多いのではないでしょうか。

本稿ではインフルエンサーマーケティングの導入を検討している方に向けて、概要やメリット、また注意点などを解説していきますのでぜひ参考にしてください。

インフルエンサーとは?

インフルエンサーとは、インターネット上のSNSやブログなど、CGM(Consumer Generated Media・消費者発信型メディア)において、ほかの消費者の購買行動に大きな影響を与える人を指す言葉です。一般的には俳優や歌手、モデル、あるいは有名スポーツ選手など、テレビや雑誌などのメディアで活躍する誰もが名前を知っていて憧れる有名人がインフルエンサーとして挙げられます。

また最近ではブログなどで多くのPVを稼ぐブロガーや、YouTubeで多くのチャンネル登録者を抱えるユーチューバー、ほかTwitterやInstagramなどで大勢にフォローされている一般人も、インフルエンサーとして注目されるようになりました。

インフルエンサーの種類と特徴

インフルエンサーはその影響力の大きさによって、100万人以上のフォロワーがいるメガインフルエンサーから、10〜100万人程度のマクロ(ミドル)インフルエンサー、1〜10万人程度のマイクロインフルエンサー、そして1万未満のナノインフルエンサーにまで4種類に分類されます。

インフルエンサーはフォロワー数が多いほど、リーチ力が大きくなりますが、エンゲージメント率は下がります。一方でフォロワー数が少なくなるとリーチ力は小さくなるもののエンゲージメント率は高くなることが特徴です。これはフォロワー数の少ないインフルエンサーのほうが、フォロワーとの距離が近く結びつきが強いことが理由として挙げられます。

インフルエンサーマーケティングとは

インフルエンサーが他の消費者の購買行動に影響を及ぼすようになった結果、インフルエンサーを利用して自社の商品の売り上げを伸ばす、あるいはブランドの認知を図ることを目的とした「インフルエンサーマーケティング」が注目されています。

これまで消費者がものを購入するときには、インターネットなどで検索して商品を探す能動的な行動が中心でした。しかしインフルエンサーの登場により、受け取った情報に興味を持ち、購入に至るように行動が変化してきています。そのため従来の企業が直接顧客に働きかけるマーケティング手法とともに、間にインフルエンサーを挟むインフルエンサーマーケティングも新しいマーケティング施策として用いられるようになりました。

企業が直接顧客に働きかけないインフルエンサーマーケティングでは、自然な形で口コミが生まれることが特徴で、またこれまで自社との接触機会がなかった多くの顧客にリーチすることも期待できます。

なぜ今、インフルエンサーマーケティングか?

近年、全ての世代においてインターネット利用時間は増加していますが、特に10代・20代を中心にした若年層は「テレビよりもネット動画」、「新聞よりもSNSニュースをよく利用する」傾向が強くなっています。

総務省の調査によると、10代・20代のインターネット利用時間はテレビ視聴時間を上回り、特に10代のインターネット利用時間はテレビ視聴時間の2倍以上です。若年層を中心にテレビよりもSNSの影響力が大きくなっていることが分かります。

若年層に限った話ではなく、全世代含めて8割以上の人が、いずれかのソーシャルメディアを利用しています。SNSが普及するまでは、多くのユーザーは検索エンジン経由で情報にアクセスしていましたが、近年はSNSで積極的に情報を収集するユーザーが増えています。そのため、企業としては、WEBサイトの運営だけでは、情報をユーザーに届けにくくなっているのです。

企業のデジタルマーケティング施策として、WEBサイトの運用は勿論大切ですが、それと同じくらいSNS上でのマーケティングは重要となっています。従って、多くのターゲットユーザーにリーチできるインフルエンサーマーケティングは注目されているのです。

参照:平成30年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書

インフルエンサーマーケティングのメリット

インフルエンサーマーケティングにはどのようなメリットがあるのか、3つ紹介していきます。

ターゲティングがしやすい

多くの場合、インフルエンサーはある一定のジャンルに特化しているケースが多く、そのためターゲティングしやすいことが1つ目のメリットです。

たとえばコスメに特化したインフルエンサーの場合、そのフォロワーもコスメに高い関心を寄せていることが予測されます。そのため自社の商材がコスメである場合には、インフルエンサーに商材を紹介してもらえれば多くのフォロワーにリーチでき、ブランドや商品の認知が期待できます。

さらなる拡散が期待できる

インフルエンサーマーケティングの2つ目のメリットは、インフルエンサーにPRしてもらいフォロワーに共感してもらうことで、さらなる拡散が期待できることです。

インフルエンサーの記事がフォロワーによってインターネット上でシェアされる、あるいはフォロワーの口コミが投稿などで拡散されれば、ブランドや商品の認知や購買意欲を効果的に拡大できます。

効果測定がしやすい

インフルエンサーマーケティングは、効果測定がしやすいことが3つ目のメリットです。マーケティング施策では、効果測定を行い結果を分析することで、さらに良い施策に改善していく必要があります。インフルエンサーマーケティングでは、指標を設定しやすいため効果的にPDCAを回せるでしょう。

測定数指標としては、リーチ数やシェア数、エンゲージメント率、ハッシュタグやいいね!の数などが考えられ、ソーシャルリスニングツールなどを利用すれば様々な分析が可能です。

インフルエンサーマーケティングの注意点

メリットの多いインフルエンサーマーケティングですが、導入するときには注意点もあります。

インフルエンサーが活躍するプラットフォームには、TwitterやInstagram、YouTubeなど色々なものがありますが、それぞれ利用ユーザー層が異なることが特徴です。そのためどのインフルエンサーと手を組むのかは、慎重に検討する必要があります。

たとえフォロワー数が多くても、自社がターゲットとしている層と、インフルエンサーのフォロワー層がずれていては、あまり意味がありません。インフルエンサーマーケティングを行うときには、自社のイメージや商品にあったインフルエンサーを探し出すことが重要です。

また活動がステルスマーケティングと思われないようにも、細心の注意を払いましょう。投稿には企業名やキャンペーン名などのハッシュタグ(#)をつけるなど、ステマと思われないよう未然に予防線を張っておかないと、ブランドを大きく傷つける可能性があることには注意が必要です。

インフルエンサーマーケティングの最新事例

インフルエンサーの影響力を活用して話題を集めている事例を紹介します。

エバラ食品が料理研究家のリュウジ氏とコラボレーションをし、焼肉のたれで有名な『黄金の味』を使用して作る麻婆豆腐のレシピを紹介しました。

料理研究家のリュウジはYouTubeチャンネル登録者数85万人、簡単に作れるけど美味しい「バズレシピ」は主婦をはじめ、多くの人々から支持されています。

麻婆豆腐のレシピ動画は2020年5月19日に公開し、18万回を超える視聴回数を記録しています。(2020年8月現在)

エバラ食品に限らず、インフルエンサーマーケティングを活用し、自社の商品を訴求している企業は増加傾向にあります。

今後のインフルエンサーマーケティング

これまでのインフルエンサーマーケティングでは、拡散力の強いフォロワー数が10万人や100万人以上いるような、芸能人やモデルなどのメガインフルエンサーやマクロインフルエンサーとタイアップすることが中心でした。しかしこれからのインフルエンサーマーケティングにおいては、フォロワー数が1〜10万と少なめのマイクロインフルエンサーが注目されています。

それはマイクロインフルエンサーは、雲の上の存在ともいえるメガインフルエンサーやマクロインフルエンサーと比べるとずっと身近な存在であるため、フォロワーとの結びつきが強く、購買行動により影響を与えると考えられているためです。

コスト的にも1人のメガインフルエンサーと手を組むよりも、同じ予算で10人のマイクロインフルエンサーにプロモーションを依頼したほうが、高い費用対効果が得られる可能性が高いでしょう。

まとめ

マーケティング分野において、SNSが市場を拡大してきていることを考えると、今後インフルエンサーマーケティングは、積極的に導入する価値がある施策といえます。インフルエンサーマーケティングを行う際には、フォロワー数の多さだけでインフルエンサーの価値を判断せず、自社のイメージや商品との相性、ターゲット層の一致率などをしっかり見極めるようにしてください。