マーケターがキャリアドリフトするには?概要からメリット、方法について解説

マーケターとしてこれからどう生きていくのかを考える時、これまでは自分自身で主体的にキャリアを構築・設計する「キャリアデザイン」の考え方が主流でした。しかし近年「環境変化に流されること」をポジティブに捉える「キャリアドリフト」という新しい考え方が注目を浴びています。

本稿ではキャリアドリフトが産まれた背景と概要、またマーケターとしてキャリアドリフトを実践するにはどうすれば良いのかを解説します。

目次
キャリアドリフトとは?
キャリアドリフトが生まれた背景
キャリアドリフトで重要なこと
マーケターがキャリアドリフトを実践するためには
まとめ

キャリアドリフトとは?

「キャリアドリフト」は、これまでキャリアを形成していくうえで重要とされてきた「キャリアデザイン」とは一線を画した考え方です。まずキャリアドリフトとはどのようなものなのかを、キャリアデザインと比較して解説します。

これまで主流だった「キャリアデザイン」とは

キャリアデザインのキャリア(Career)は経歴や職歴を、デザイン(Design)は設計を意味します。つまりキャリアデザインは「これからの職歴を自ら設計する」ことを指し、これまではこの考え方が「正」とされていました。

それは日本の企業においては学歴に編重し、年功序列や終身雇用が当たり前だったことに由来します。新卒で入社した企業に40年近く勤め上げ、その中で自然と役職が上がっていくことが、誰しも容易に想像出来ました。5年後や10年後の自分の姿を想像し、そのポジションにいかに効率よくたどり着くかを考えることが、キャリアを考えることでもあったのです。

しかし時代は一変し、入社からわずか3年で退職する比率が30%※を超えるなど、同じ企業に勤め上げることは普通のことではなくなりました。終身雇用が崩壊し、また時代の変化が激しい現在では5年後どころか1年後の社会がどうなっているのかすらわかりません。昨年の今頃、コロナ禍に見舞われ働き方が一変することを予測していた人はいないでしょう。そんな状況の中で、中・長期的に自分のキャリアを考えることは、非常に難しくなってしまったのです。(※参照:厚生労働省 新規学卒就職者の就職後3年以内の離職率の公表(平成28年3月卒業者の状況)

「キャリアドリフト」と「キャリアデザイン」の相違点

一方キャリアドリフトは、ドリフト(Drift=漂流)が意味するように、自分のキャリアについて事前に設計することなく、自然の流れに任せていくことを意味します。節目節目に立ち止まり、自分のキャリアの方向性について思考しますが、そちらに向かって主体的に道筋を立てないことがキャリアデザインとは異なる点です。

先の見えない時代に方向性を定めて進んで行こうとすると、環境の変化によってプランは容易に頓挫します。挫折感やモチベーションの低下が予測されるのであれば、あえて将来設計はせず、偶然の出会いや環境の変化を楽しみながら流されて、柔軟にキャリアを積んでいこうというのがキャリアドリフトの考え方なのです。


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キャリアドリフトが生まれた背景

スタンフォード大学のクランボルツ教授は、自らが提唱した「計画された偶発性理論」の中で、「キャリアは100%意のままにコントロール出来ない。8割は偶然の出来事によって決定されている」と述べています。

キャリアドリフトは、このクランボルツ教授のキャリア論に影響を受けた神戸大学の金井壽宏教授が著書である「働くひとのキャリア・デザイン」で提唱した考え方です。

変化の激しい今の時代には、慎重にプランを練って「選択」しても、その通りには進んでくれません。20年も30年も先のことをデザインしても、思う通りにならないのであれば、立ち止まってキャリアデザインを行うのは数年に一度で十分です。そして一度決断したら、その選択についてあれこれ考えることなくその流れの勢いに乗り、目の前の業務や作業に集中することが大切なのです。

デジタルマーケティングの世界も変化が激しく、常にアップデートと即座の判断を求められます。これからの変化が予測できない以上は、マーケターとしてもキャリアドリフトの考え方は重要になるでしょう。

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キャリアドリフトで重要なこと

キャリアドリフトの思考を取り入れるうえで重要なことを、3つ紹介します。

キャリア設計の全てを放棄するのではない

キャリアドリフトがキャリア設計をせず流れに身を任せることだと言っても、設計の全てを放棄するという意味ではありません。

キャリアドリフトでは、自分で意識的に選択するフェーズと、偶然やってきた機会を上手く活かして流れに乗るフェーズを交互に繰り返すことが大切とされています。転職する、起業する、などキャリアの大きな節目では、きちんと立ち止まって自己決定としての方向修正を行ってこそ、はじめて機能するのです。

職業人生を通して「生き方」に焦点をあてる

キャリアドリフトで節目となるのは、転職や企業など、キャリアに関する時だけではありません。結婚や出産、病気や親の介護など、人生の大きな転機も節目として捉えるとされています。

キャリアドリフトでは、職業人生を通して、自分の人生や生き方についても、節目節目で深く考えることが大切なのです。

大まかな方向だけを捉える

キャリアドリフトでは、節目でキャリアの方向性を定める時にも、詳細な計画を立てずに大まかな方向だけを捉えることを重視しています。詳細なプランを考えてしまうと、それに縛られて視野が狭くなり、偶然にやってくるチャンスを活かせなくなる可能性があるためです。

キャリアドリフトでは節目と節目の間は、環境の変化や身の回りに起こる出来事に対し柔軟に対応できるよう、迷いなく過ごすことが大切です。大まかに方向性を捉えたら、目の前に起こることだけに集中し、全力で取り組むようにしましょう。

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マーケターがキャリアドリフトを実践するためには

それではマーケターがキャリアドリフトを実践するためには、どのようなことを意識すれば良いのかを説明します。

時代に逆らわずドリフトを実践する

キャリアの方向付けについては、「将来こうなりたい」といったことを決める必要はありません。自分が好きなこと、そして嫌いなことを考えて、短いスパンで実現したいことが何かをさがしましょう。

特にデジタルマーケティングの分野は、これまでもめまぐるしく変化し続けてきました。予約型ディスプレイ広告が廃れリスティング広告が主流になり、フィーチャーフォンがスマートフォンに取って代わられ、それに紐付いていたコンテンツプロバイダーや広告事業者の顔ぶれも一新しています。

キャリアをデザインしようと思っても、その通りには進みません。それであるなら、マーケターを続けたいという意思は持ちつつ、時代の流れに逆らわずにドリフトされていくほうが自然なのではないでしょうか。

節目だけはキャリアデザインする

キャリアや人生の節目に到達した時だけは、これからのキャリアについて自分で意思決定する必要があります。それはこれからドリフトしていく方向を、「自分で決めた」という自己決定感を持つためです。節目ごとにこれからもマーケターとして続けていきたいのか、それとも何か別のことにチャレンジしたいのかを自問自答し、自分で選択するようにしましょう。

アクションを起こす

進む道を節目で選び取った後は、その決定が正しかったのかどうかと、くよくよ考えることはせず、勢いに乗ってドリフトすることが大切です。目の前にやってくるチャンスを活かし、貪欲に成長しようとアクションを起こさなければなりません。

マーケターとしてやっていくと決めたのであれば、あれこれ迷うことなく、一流のマーケターになることに時間も労力もつぎ込んで、努力を続けていくことが求められます。

ドリフトも、偶然も、楽しみながら取り込む

節目と節目をドリフトしている間は、その選択を楽しみながら、しかしやってくる偶然のチャンスも取込み活かす柔軟性を持ちましょう。マーケターとして日々邁進し、成長に向けて努力することは大切ですが、その選択に縛られる必要はありません。別のチャンスがやってきたら、それを新たな選択をする節目と捉えて柔軟に対応するようにしてください。

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まとめ

キャリアドリフトは、これまでの目標を定めて綿密なプランを練り、それに向けて進んでいく生き方とは異なり、日々の変化や環境に流され、漂うように職業人生を過ごす新しいキャリアの考え方です。

マーケターとして活躍したいと「今」思うのであれば、その気持ちを受け止め、これから起こることを主体的に楽しみながら突き進んでいきましょう。


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参考サイト

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